1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672650
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
五味 邦英 昭和大学, 医学部・臨床病理, 教授 (60053980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福地 邦彦 昭和大学, 医学部・臨床病理, 講師 (70181287)
高木 康 昭和大学, 医学部・臨床病理, 助教授 (30138490)
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Keywords | DNA damage / 放射線 / p53 / p21 / ユビキチン / アポトーシス / 細胞増殖抑制 / デフェロキサミン |
Research Abstract |
放射線照射などのDNA傷害因子による処理後の細胞の応答を解析した。 p53カスケードが正常な細胞(ML-1)にDNA傷害因子処理を行うと、p53が細胞内に集積し、p21mRNAが発現亢進、ついでp21蛋白が発現し細胞増殖抑制を引き起こす。一方、DNAには傷害性を持たないデフェロキサミンによる細胞内の鉄キレートでは、p53の集積、p21mRNAの発現亢進を起こすが、p21蛋白の発現は検出されないことを平成9年度までに見出した。この現象は、p21の発現には転写誘導に加え、DNA傷害による、転写後の蛋白の安定化機構が存在することを示唆する。そこで、p21蛋白の安定化にユビキチン-プロテアソーム蛋白分解経路の関与の解析を行った。ML-1細胞をデフェロキサミン処理した後にプロテアソームインヒビターを加えると、p21蛋白およびユビキチン結合p21蛋白が検出された。さらに、増殖中のコントロール細胞にプロテアソームインヒビターを加えた際にもp21蛋白が検出された。しかし、ユビキチン結合p21は、DNA傷害因子処理後の細胞では検出されなかった。効率的なp21蛋白発現にはDNA傷害が必要であり、その機構としてDNA傷害によるp21へのユビキチン結合の抑制が示唆された。このことから、p21はユビキチン-プロテアソームにより発現抑制されていることが証明された。ついで、ユビキチン結合とDNA傷害の関連の解析を行った。まず、DNA傷害時にp53の安定化を行うDNA-PKの関与の可能性を確認するために、DNA-PKを阻害するWortmanninで前処理した細胞をγ線処理したところ、p21発現は抑制された。このことから、DNA-PKがp21の安定化に関っていることが示唆された。今後、さらにこの安定化機構の解析を行っていく予定である。
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[Publications] Yoshida,H.,Fukuchi K et al: "Induction of DNA fragmentation in human myelogenous leakemic cell lines" Anticancer Research. 18. 2507-2511 (1998)
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[Publications] Fukuchi K et al: "DNA damage mduces pei protein expression by inhibiting ubiquitination in ML-1 cells" Biochimica Bioplysica Acta. 1404. 405-411 (1998)