1996 Fiscal Year Annual Research Report
血小板-癌細胞相互認識による細胞内Ca^<2+>シグナリングの研究
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08672658
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Research Institution | Ehime College of Health Science |
Principal Investigator |
岡田 真理子 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助教授 (60111118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫃本 泰雄 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (90136333)
富永 彬生 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助教授 (90036450)
佐川 輝高 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助手 (90162320)
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Keywords | 血小板 / 癌細胞傷害反応 / 癌細胞株 / 細胞内Ca^<2+> / レーザーサイトメーター / Fluo-3 / 小胞体 / thapsigargin |
Research Abstract |
血小板による癌細胞傷害反応初期段階における標的癌細胞、血小板両者の細胞内Ca^<2+>濃度の変動を経時的に測定し、細胞内Ca^<2+>濃度の変動が細胞傷害と如何なる関わりを持つかを検討した。標的細胞として血小板感受性株K562、LU99A、非感受性株MIA-PaCa2、Molt4の4細胞株を用いガラス底ディッシュに付着させた。ある実験では血小板をガラス底ディッシュに付着させた。付着癌細胞、付着血小板にはFluo-3を負荷し細胞内Ca^<2+>濃度の指標とした。Ca^<2+>濃度の変動はACAS570レーザーサイトメーターを用い単一細胞レベルで測定した。Fluo-3負荷標的細胞に血小板を加えると4種類の癌細胞のどれにも急激な細胞内Ca^<2+>濃度の上昇がみられた。K562の場合は瞬間的な上昇の後、元に戻ったが、LU99A、MLA-PaCa2、Molt4では100秒以上上昇した状態が持続した後、もとに戻った。外液にEGTAを加えても、どの癌細胞においても細胞内Ca^<2+>濃度は上昇した。thapsigaginで標的癌細胞を前処理すると4種類の細胞とも血小板を加えてももはや細胞内Ca^<2+>濃度の上昇はみられなかった。標的細胞をthapsigargin処理すると血小板の細胞傷害活性に対してK562は影響を受けず、LU99Aは感受性が低下し、元々非感受性のMolt4は感受性になった。Fluo-3負荷血小板に癌細胞を加えるとどの癌細胞でも血小板内Ca^<2+>濃度の上昇がみられ、この上昇は血小板をthapsigargin処理することにより抑えられた。thapsigargin処理血小板の細胞傷害活性は無処理に比べK562に対しては低下したがLU99Aでは変わらなかった。以上の結果から、(1)血小板刺激に伴う標的癌細胞内Ca^<2+>濃度上昇は小胞体からのCa^<2+>遊離によるものであるが、標的癌細胞によってCa^<2+>遊離が細胞傷害反応と直接関わりを持つ場合とそうでない場合のあること、(2)標的細胞により血小板小胞体内Ca^<2+>が細胞傷害活性に必要な場合と不必要な場合のあることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)