1997 Fiscal Year Annual Research Report
訪問看護婦の「医療行為」に対する医師の指示に関する研究
Project/Area Number |
08672669
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 鈴子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00272427)
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Keywords | 医療行為 / 訪問看護 / 看護業務 / 相対的医行為 / 在宅ケア / 指示 |
Research Abstract |
訪問看護が「医療行為」を実施することに対する現状の問題を明らかにする目的で以下の研究を行った。(1)訪問看護の発展を支援する目的で設立された訪問看護振興財団には,全国から,訪問看護に関する相談や質問が集まると考えられる。そこで,平成8年10月から平成9年7月までに電話あるいはファックス等で訪問看護振興財団に寄せられた相談・質問(相談と略す)を集計し,内容によって分類した。その中から,医療行為に関する相談を抽出し分類をした。(2)また,平成7-8年度に社会・医療事業団が実施した「在宅ケアにおける看護業務と看護の専門性に関する調査研究」の資料に基づいて,医療行為に対する訪問看護施設の「実施の方針」と医師の指示状況を調査した。(3)加えて,病院内に於いて看護婦が行う医療行為の検討から訪問看護に於ける医療行為を考察した。 その結果,(1)では、464件の相談のうち,医療行為に関する相談件数は5.8%(27件)で,同じくレセプトは38.6%,訪問看護ステーションの開設運営は26.5%であった。医療行為に関する相談は,「訪問看護婦が実施できる医療行為」9件,「ヘルパー,介護士が実施できる医療行為」6件,「訪問看護婦が実施した行為に対する責任」5件,「医師が訪問診療をしないケース」4件など8項目に分類された。また,(2)では,61の医療行為に対して44行為は,過半数の施設が「実施の方針」を示した(対象1306施設中有効回答32.4%)。実施の方針に対する医師の指示は,「個別的・具体的指示」の割合が「包括的指示」に比べて全般的に高かった。各行為に対して「実施しない方針」を示した施設が,その理由として「規則・責任」の問題を挙げた割合は「報酬」,「技術力」,「判断力」の割合に比べ全般的に高かった。また,「実施しない方針」を示した過半数の施設がその理由に「規則・責任」の問題を挙げた行為は,57行為であった。(3)では,訪問看護においては,看護婦が行う医療行為の拡大が必要とされることが示唆された。以上から,医療依存度の高い人々に訪問看護対象を拡大していくうえで法律的制度的問題が桎梏となっていることが示された。
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