1996 Fiscal Year Annual Research Report
看護学における生活構造論の構築に向けての検討 〜震災後1年目の生活変化の体験から〜
Project/Area Number |
08672690
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | College of Nursing Art and Science, Hyogo |
Principal Investigator |
近田 敬子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 教授 (10115884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植波 寿子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (70285344)
大原 美香 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (10275315)
志村 満子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (20254477)
宮島 朝子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助教授 (60115946)
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Keywords | 生活構造論 / 震災後 / 看護者の生活変化 / クライエントの生活変化 / 生活項目 / 看護と生活 |
Research Abstract |
本年度の研究の目的は、看護婦が震災後1年目において認識した自分およびクライエントの生活の変化を把握することに始まり、そしてそれらを構成している生活項目を抽出することであった。 調査は、兵庫県下10地区から計100名の看護者を対象としたが、震災1年目の生活に意味を見出していたので、先行して平成8年1月にデータを収集した。調査用紙は、震災によって自分およびクライエントの生活が変化したこと、それに対して感じ・考えたこと等の質問で構成しており、自由記載法で回答を求めた。内容にはプライベートな事柄が含まれるため、拒否する権利を伝えた。有効回答数は94件であった。分析は、記載内容文から各5個の一行文を作り、それを研究者間で見解の一致が図れるまで検討を加えた。いずれも約480枚のカードを完成させ、これらをKJ法で分類し、グループ編成および空間配置を行い、生活の変化の全体像を図解化した。 その結果、以下の通りの文脈の中で生活の大項目(次元)が抽出された。 1)自らの生活においては、居住環境の激変・家族状況の変化・次の地震への恐怖心・ゆとりの喪失・生活の仕方の変化・生理的欲求の変化・経済的負担・仕事内容の変化などから、震災1年後も気持ちの安定が図れない状況を生んでいる。そして、看護の使命感に燃えて非日常的な仕事に従事しているが、安定できない気持ちを家族や職場の人間関係に支えられながら、なんとか落ち着きたい或いは癒したいと努力している。 2)クライエントの場合、身体症状や精神症状の出現・喪失体験などから不安定な状態になっており、医療依存が高まっているという『状況の変化』が前面に表現されていた。生活状況の変化や人間関係の変化の現象は若干異なるが、看護者の場合と同様の大項目であった。 以上の結果を踏まえて、9年度は生活の中項目でそれぞれに重みづけを得て、生活構造の解析を進めたい。
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