1997 Fiscal Year Annual Research Report
看護学における生活構造論の構築に向けての検討〜震災後1年目の生活変化の体験から〜
Project/Area Number |
08672690
|
Research Institution | COLLEGE OF NURSING ART AND SCIENCE,HYOGO |
Principal Investigator |
近田 敬子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 教授 (10115884)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 寿子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (70285344)
大原 美香 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (10275315)
志村 満子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (20254477)
宮島 朝子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助教授 (60115946)
|
Keywords | 生活構造論 / 震災後 / 看護者の生活変化 / クライエントの生活変化 / 生活項目 / 看護と生活 / 因子分析 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、看護職者が意識している「看護婦自身の生活」と「クライエントの生活」への視点を明らかにするとともに、各生活構造を因子分析によって導き両者の着眼点の差異を明確化することにある。 まず、前年度把握した震災により看護婦自身およびクライエントの生活の変化の全体像から、調査項目を抽出し、それぞれ5段階の重みづけ(重要度)を得られる質問紙を作成した。次に、兵庫県下10地区から約500名の看護職者(看護婦7:保健婦2:助産婦1の割合)を抽出し、上記の質問紙による調査を依頼し、同意の得られた対象に留置法(1度の督促)で郵送調査を実施した。 解析は、統計パッケージSPSSを用い、「自分の各生活上の重みづけ」と「クライエントの各生活上の重みづけ」との項目別粗点平均点の差を検定(t検定)するとともに、主因子法バリマックス回転で因子分析を行い、各因子に命名して、両者の生活に対する意識を比較した。 その結果、(1)41の質問項目中22項目において、クライエントの生活に比べて自分の生活に対する重みづけが有意に大きいことが認められた。すなわち、相手の立場で感じ・考えることのギャップは大きいことが分かる。(2)両者の生活構造を比較すると、自分の生活においては「ゆとり」や「安定性」および「関係性」などの人間の存在の根幹をなす構造が位置づいている。クライエントの生活に対しては、このような因子は乏しく、どちらかと言えば看護の役割意識や現在の医療事情が先行した管理的な生活のみつめ方になっている。(3)クライエントの生活に対しては、看護婦の属性の影響は少ない。要は、自分の生活感覚を通して相手を埋解するのではなく、生活理解の別枠組みが作用しているようである。(4)以上より、「生活者主体」や「生活に根ざした」看護の実践に遠い生活構造が明らかになった。
|