1997 Fiscal Year Annual Research Report
看護・人間工学的な視点による高齢者自立支援椅子の開発
Project/Area Number |
08672691
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | College of Nursing Art and Science, Hyogo |
Principal Investigator |
川口 孝泰 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助教授 (40214613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 美和子 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (60295756)
小河 孝次 北海道東海大学, 芸術工学部, 教授 (60169183)
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Keywords | 高令者 / 椅子 / 起立介助 / ケア / 福祉器材 |
Research Abstract |
1.研究目的 超高齢社会を目前に控え、高齢者に対するケア環境の充実が求められている。とくに高齢者は、自律神経機能の低下や心拍出量の低下、骨格筋の収縮能の低下などにより循環調節が障害され、head-upを伴った急激な体位変換や他動的な体位変換の際などには、起立性低血圧に陥りやすい状況にある。本年度の研究は、起立性低血圧に陥りやすい他動的起立時における循環調節への影響について実験を行い、体位変換を伴った介護福祉機器に対する人間工学的検討を行った。 2.研究方法 1)実験条件 実験条件は、(1)半介助(誘導されながらの自立的起立(active standing))(2)全介助(全面的に起立動作を委譲する他動的起立(passive standing))である。さらに起立支援のための椅子((3)起立支援椅子)を使用した場合の変化も比較対照として測定した。 使用した椅子は、座面の高さ33cm、起立支援椅子の座面の高さは38cmであった。なお被験者は、本研究の主旨を十分に説明し、同意の得られた健康な大学生6名(男1名,女5名)である。 2)実験手順 被験者は座面33cmの椅子に着席し、近赤外線脳酸素モニターの測定が安定した時点から5分間の安静座位を保った後「全介助」で起立し、その後3分間立位を保った。「半介助」も同様の手順で行った。また起立支授椅子は、5分間座位を保った後、起立支援機能(右のアーム下のレバ-を操作)を用いて起立した。 3)測定及び分析 実験中は、心電図および近赤外線脳酸索モニター(NIRS)による脳循環の連続的な測定・記録を行なうと同時に、起立前後の血圧を自動血圧計(日本コーリン,JENTOW-7700)を用いて測定した。 3.実験結果 1)起立前後の心拍変動 RR.Aveは起立後に全条件で有意に低下した(p<0.01)。LF/HF値は、半介助起立前後で6.93から15.90、全介助で9.15から15.49と起立後に高値になる傾向を示した。また支援椅子は8.68から34.66と有意に高かった(p<0.05)。血圧は起立後に若干上昇する傾向にあったが顕著な差はみられなかった。起立前後のLF/HF値の変化は、全ての条件で起立後に上昇した。しかし全介助起立時のLF/HF値の変化は、少ない傾向がみられた。 2)起立前後の脳循環 起立前後5秒ごとのoxy-Hb,deoxy-Hb,total-Hbの変化量の推移をみると、起立後5〜14秒後にoxy-Hbとtotal-Hbの低下がみられた。つまり瞬間的に脳への血液供給が途絶える傾向がみられた。 3条件で比較すると、全介助起立時においては、他の2条件に比べて血流低下が大きい傾向がみられた.
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Research Products
(2 results)