1998 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性老人のためのグループホーム作りとケアの効果に関する実証的研究
Project/Area Number |
08672694
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Research Institution | HEALTH SCIENCES UNIVERSITY OF HOKKAIDO |
Principal Investigator |
中島 紀恵子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (90009613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大里 外譽郎 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (30000912)
山田 律子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (70285542)
北川 公子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教授 (30224950)
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Keywords | 痴呆性老人 / グループホーム / NK細胞活性 / リアリティオリエンテーション |
Research Abstract |
1997年8月に開設された痴呆性老人グループホーム「幸豊ハイツ」を調査対象施設とし、継続的に入居者(男性1名、女性7名の計8名)とケアプログラムに関する観察評価を行い、以下の知見を得た。 1. 入居者にみられた効果:開設時に高かったNK細胞活性は1カ月後に低下したが、5カ月後には回復した。開設8カ月後に新築の建物に転居し、入居者全員が環境の変化を体験したが、NK活性には大きな変動を認めなかった。NK活性が低下した開設1カ月後は、環境の変化に伴う入居者の混乱・興奮に関連してグループホーム全体がパニックに陥った時期であり、ストレス状況がNK活性の低下に関与していたと考えられる。その後のNK活性の回復には、リーダーの交替やケアプログラムの充足、新入居者の加入に伴う新たな交流関係の成立などが関連したと考えられる。プログラム充足や関係成立によって、それ以降の物理的環境の変化による入居者への影響は軽減された可能性が示唆された。 2. 入居者の適性:開設から1999年1月までの1年半に2名が退所した。1名は最高度のアルツハイマー型痴呆の男性で、自他の所有の区別がつかず、他者の私物を収集することへの入居者からの指摘に対する度重なる興奮・暴力に起因していた。もう1名は高度の脳血管性痴呆の女性で、感情のコントロールがつかず、昼夜を分かたず人の名を大声で呼び続けるため、他の入居者への影響から退所に至った。グループホームは小集団、小スペースゆえ、これらのエネルギーの高い行動による個々への影響が非常に大きくなる。そのため、他の入居者の安全、安楽を保持するという観点から、入居の継続に困難をきたす行動特性とうものが存在する可能性が示唆された。 3. ケアプログラムの充足過程:グループホームでのケアプログラムは大きく次の3点に要約できる。それは、環境の再編(行動範囲の評価に基づく部屋替え、家具、仏壇など)、アクティビティ (化粧、ことば想起ゲーム、菜園など)、役割の再編(炊事、掃除、ゴミ捨て、日めくりなど)であった。
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