1996 Fiscal Year Annual Research Report
繊維の吸着特性の基礎的検討と繊維廃材による吸着剤の設計
Project/Area Number |
08680002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
金澤 等 福島大学, 教育学部, 教授 (50143128)
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Keywords | 絹 / 羊毛 / フィブロイン / セリシン / ケラチン / 吸着 / 酸性染料 / 揮発性有機化合物 |
Research Abstract |
これまでに、繊維に対する、有機化合物(NN-ジメチルフォルムアミド、o-ジクロルベンゼン、ジオキサン、デカン)の吸着量の相対比をガスクロマトグラフで分析して、繊維の識別が可能であることがわかった。そこで、今回は、蛋白質繊維の絹と羊毛に対する、有機化合物と染料の吸着について幅広く検討をして、問題点をピックアップした。絹と羊毛については、繊維そのものと、繊維を溶解してから、粉末状に再生した蛋白質(フィブロイン粉末とケラチン粉末)の両種を比較検討した。 まず、繊維、セリシン粉末、フィブロイン粉末、ケラチン粉末について、上記有機化合物とエタノールの吸着量を求めた。吸着時間は20h、温度は25℃とした。その結果、全ての蛋白質について差異がみられた。特に、エタノールの吸着量が多いことが注目され、アルコールの水酸基と蛋白質のアミド結合との水素結合的な相互作用を考えた。今後、数種のアルコールについて比較することが必要である。他の有機化合物の吸着から、蛋白質の違いや類似性の推定ができることがわかった。蛋白質の一次構造のみならず、二次構造(分子形態)も重要な因子であると考えた。今後、合成ポリペプチドとの比較によって、より明らかになるであろう。 色素は酸性染料5種(オレンジG、ボルド-レッドなど)を用いた。羊毛のスケールの染料吸着に対する疎外は、羊毛繊維の場合、高温で染料をよく吸着するが、ケラチン粉末では低温でも染料をよく吸着することから明らかになった。絹は繊維でも低温でよく吸着した。なお、染料の構造の少しの違いが異種蛋白質への吸着量の差として明確に現れた。繊維廃棄物である、セリシンは架橋して用いた。フィブロインとは異なる吸着特性を示した。これについては、さらに試料の調整を行い、詳細な検討を計画している。また、X線回析装置が導入されるので結晶化度の効果も検討したい。
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[Publications] H.Kanazawa,Y.Ohashi: "Polymerization of N-Carboxy Anhydrides of L-and DL-Valine,and L-and DL-Phenylalanine in the Soild State." Molecular Crystals and Liquid Crystals. 277. 45-54 (1996)
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[Publications] T.Onami,H.Kanazawa: "A Simple Method for Isolation of Caffein from Black Tea Leaves." Journal of Chemical Education. 73. 56-57 (1996)
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[Publications] H.Kanazawa,Y.Matsushima: "Adsorption of Dye onto Silk and Wool Proteins." Science Report of Fukushima University. 59. 7-11 (1996)
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[Publications] H.Kanazawa and Y.Sato: "Kinetics of the Polymerization of N-Carboxy Anhydride of beta-Benzyl-L-aspartate in the Solid State." Science Report of Fukushima University. 59. 11-15 (1996)
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[Publications] H.Kanazawa,H.Uekusa,Y.Ohashi: "Structure of N-Carboxy-dl-Phenylalanine Anhydride." Acta Crystallographica. C52. (1997)