1996 Fiscal Year Annual Research Report
葉菜類の鮮度評価に対する指標の構築 ストレス高感受性のアブシジン酸を中心として
Project/Area Number |
08680006
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
冨永 典子 お茶の水女子大学, 生活環境研究センター, 助教授 (30164031)
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Keywords | 葉菜 / 鮮度評価 / アブシジン酸 / アスコルビン酸ペルオキシダーゼ |
Research Abstract |
アブシジン酸(ABA)を中心としたストレス関連物質が葉菜類の鮮度評価の新たな指標となりうるかどうか検討した。ホウレンソウを材料とし、鮮度低下処理は前報と同様20℃、相対湿度65%、風速0.1〜0.2m/sの環境に2日間放置し萎れさせた。吸水回復処理は、萎れたホウレンソウを水温30℃の水に24時間浸潰しておこなった。 アスコルビン酸量、アスコルビン酸オキシターゼ(AO)活性の葉、茎、根における分布及び経時変化は前報と同様の結果が得られた。 アスコルビン酸ペルオキシターゼ(APO)活性の分布はAOのそれと似ていて、茎、根の活性は葉の活性のそれぞれ2倍、20倍であった。葉及び茎の活性は鮮度低下処理、吸水回復処理によって約3倍に上昇するが、根の活性は1/3に低下した。 アブシジン酸(ABA)量は新鮮時葉、茎の順に多く(葉は茎の7倍)、根では検出不能であった。鮮度低下処理初期に増加するが、2日後にはほぼ新鮮時のレベルまで戻った。しかし、吸水回復処理によって約10倍に増加した。萎れによってABA量が増加することは分かっているが、吸水処理による増加は報告がなく、今後いろいろ条件を変えてさらに検討する予定である。また、根のABAは鮮度低下処理により、新鮮葉と同レベルまで増加した。 鮮度低下処理は細胞にとって非常なストレスである。この条件でオキシダーゼ及びペルオキシダーゼ活性が増加するのは予想できるが、呼吸活性も上がっていると考えられる。鮮度評価の指標としては、新鮮時にはほとんど認められなく、鮮度低下によって顕著に増加するもの(またはその逆)が望ましい。今後呼吸関連の酵素及びシトクロム類のレベルの検討も行う。
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