1996 Fiscal Year Annual Research Report
親の保育要求の充足と子どもの保育補償に関する実証的研究
Project/Area Number |
08680010
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
大瀧 ミドリ 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (40056388)
|
Keywords | 乳児 / 親 / サーモトレーサ / 顔面皮膚温度 / ハートレート / 母子分離 / 母子再会 / 保育要求 |
Research Abstract |
本研究は、親の緊急的な保育要求を充足することによって生じる、一時的な親からの分離体験が子どもの生活に与える影響を、分離・再会場面を含む半統制的場面におけるサーモトレーサによる顔面皮膚温度とハートレートなど、生理的レベルの情報を指標として、分析するものである。研究対象は、生後4か月〜10か月の計29名の乳児(男児20名、女児19名)とその母親である。対象児の多くのものが、他家を訪問する機会は週2〜3回程度であり、生活の中心は彼等の家庭内におかれている。母子同室場面・母子分離場面・母子再会場面(各場面約5分間)における子どもの顔面皮膚温度とハートレートを計測する。顔面皮膚温度の測定位置を固定するため、対象児の眉間上方の額部分に電極を貼る(4.3cm×3.4cmの電極の中央に2.3cm×1.5cmの窓を開け、枠の表面をアルミ箔で覆った)。対象児は、テーブル付きのラックに着席し、対象児から約1mの離れた所にサーモトレーサを設置する。結果は、以下の通りである。 場面の推移に伴う対象児の顔面皮膚温度とハートレートに有意な変化が認められた。しかし、その変化の様相は、Mizukami et al.(1990)の結果とは異なり、母子分離体験により顔面皮膚温度が有意に減少するものと逆に有意な上昇を示すものがあり、異なる2つのパターンが認められた。これらのパターンの違いが何に起因するかは、さらに詳細な分析をする必要がある。また、顔面皮膚温度とハートレートの変化と対象児が日常的に経験している対人関係の広がりや頻度などの生活変数との間には有意な関連は見られなかった。
|