1996 Fiscal Year Annual Research Report
高齢ラットにおける運動による栄養要求性の変化と代謝応答に関する分子栄養学的解析
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08680064
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University Junior College |
Principal Investigator |
小垂 真 光華女子短期大学, 生活学科, 教授 (80167402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金本 龍平 京都府立大学, 農学部, 助教授 (70147297)
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Keywords | 高齢ラット / タンパク質栄養 / グルテン / 除脂肪体成分 / インスリン様成長因子I(IGF-1) / アルブミン / 運動負荷 |
Research Abstract |
高齢化社会において、質の高い健康を生涯維持するためには食環境の整備が重要である。我々は高価でかつその必要量がライフステージによって変化するタンパク質栄養に着目し、高齢ラットにおける必要量を検討してきた。今回は一般に栄養価が低いとされている植物性タンパク質について検討するとともに、運動負荷を試みた。 【方法】(1)9ヶ月齡SD系雄ラットを4群にわけ10%カゼイン、10%グルテン、10%ツエイン、および10%ツエインにトリプトファンとリジンを補足した食餌(ツエイン+Trp,Lys食)を与え75日間飼育した。摂取量は毎日記録し、窒素出納、体脂肪率と除脂肪体成分および各種血液成分を適宜分析した。また、肝臓でのアルブミンおよびIGF-1mRNAの発現量を求めた。(2)通常食で飼育した7ヶ月齡のラットに遊泳装置にて運動負荷を試みた。 【結果と考察】(1)ツエイン食群の体重は著しく減少したが、他の3群で大きな増減はなかった。各種血液成分はカゼイン食群とグルテン食群の間に差はなかった。血清総タンパク質とアルブミン含量は、ツエイン食群とツエイン(+Trp,Lys)食群で低い傾向がみられたが、正常範囲内であった。ツエイン食群とツエイン(+Trp,Lys)食群の血清コレステロール値は、他の2群の1/2以下であり、血清トリアシルグリセロール値はツエイン食群で1/5、ツエイン(+Trp,Lys)食群では1/3と低い値であった。肝臓のアルブミンおよびIGF-1mRNAの発現量は、カゼイン食群とグルテン食群の間に差はなかった。ツエイン食群とツエイン(+Trp,Lys)食群での発現量は低い傾向にあったが、カゼイン食群との間に有意差はなかった。以上より、高齢ラットにおいて、グルテンの栄養価はカゼインと変わらないことが明らかとなった。一方、ツエイン食は、トリプトファンとリジンを補足すると体重と除脂肪体成分を維持することが示された。(2)ラットに既存の装置で遊泳による運動負荷を試みたが一定の負荷をかけることができず、現在装置の改良を試みている。
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