1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳沢 和雄 筑波大学, 体育科学系, 講師 (60191152)
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Keywords | コミュニティスポーツ / コンティンジェンシー理論 / ネットワーク論 / 社会変動 / 経済変動 |
Research Abstract |
本研究は、コンティンジェンシー理論及びネットワーク論を参考に、地域の社会経済状況の変化とコミュニティスポーツの発展との関連を分析することを目的とした。本年度は、炭坑廃坑後人口構成や若年層の流出といった社会変動の中で、スポーツによって地域づくりを目指してきた山口県美祢市の事例と、全国でも生涯学習社会を目指す先駆的取り組みを行ってきた岩手県金ヶ崎町を事例に、自治体の社会経済変動と取り組みに関する基礎資料の収集と関係者へのインタビューを行った。 山口県美祢市では、昭和50年以降に体育指導委員をネットワークの鍵として、地域のスポーツ振興組織を形成し、スポーツの振興や地域の活性化に取り組んできた。その結果、住民の自主的な活動は振興したものの、その後行政担当者の移動や、社会教育主事の関わりの脆弱化によって地域スポーツ振興は停滞した。また、若年層の都市部への流出は続いており、児童数の減少と高齢化が進行しており、地域のスポーツ事業やスポーツ組織の構成員の硬直化がみられた。一方、岩手県金ヶ崎町は、生涯学習の町づくりに向けた町長の意識が高く、昭和50年代より多様な補助金を活用し、町を7地区にゾーニングし各ゾーンに体育館やその他スポーツ施設を併設したコミュニティセンターの整備を進めてきた。また、町の活性化のために工業団地の誘致にも積極的である。さらに、昨年度から文部省総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業の指定を受け、各コミュニティセンターを核としたネットワークとしての運営組織を作り、独自の自主事業を展開していた。このように、今年度の事例から、コミュニティスポーツの発展が地域生活の基盤となる社会経済変動の影響を受けるとともに、地域の社会的ネットワークの形成とその特質に大きな影響を与えることが示唆された。
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