1996 Fiscal Year Annual Research Report
随意的筋力発揮時の筋音の振動波形特性と筋の機能的特性
Project/Area Number |
08680100
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
森本 茂 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (70119858)
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Keywords | 筋音 / 腓腹筋 / 筋機能特性 / 周波数特性 / 表面筋電図 |
Research Abstract |
筋電図及び筋音図(筋振動)波形の統計処理結果の筋力発揮特性に対する相互関係を求めることにより骨格筋の機能特性を推定することを目的とした.本報告では特に筋振動波形に重点を置いて検討した.被験筋は当初ヒラメ筋を用いたが明確な結果が得られなかったため、腓腹筋(内側部と外側部)に対象を変えて実験を行った.被験者は競技特性の差違が明らかな陸上競技部短距離選手と長距離選手(計10名)とした.得られた結果は以下の通りである。 1.瞬発的足関節底屈筋力の最大値では短距離走群で有意な高意が認められたが、発揮勾配においては有意差を見いだすことは出来なかった. 2.種々の筋力水準にて一定筋力を発揮したときの表面筋電図積分値において、発揮筋力に依存した増加傾向は内側腓腹筋よりも外側腓腹筋において大きな変化率を、また長距離走群に比較して短距離走群において大きな変化率であった.しかし、変化動態は両群で顕著な差違は認められなかった。 3.筋振動波形の積分値と平均振幅において、両群間に顕著な差違が観られた.すなわち、筋力発揮の増大(30%最大筋力以上)に伴って短距離走群では外側腓腹筋が内側腓腹筋に比して有意に大きな積分値と振幅を示した.これに対して、長距離群では内側腓腹筋が有為な高値を示した. 4.筋振動波形の周波数解析においてこれまでの報告同様に低周波数帯域と高周波数帯域に分けることが出来た.長距離走群の5%MVCの低周波数帯域と高周波数帯域のピーク値は5.9Hzと12Hz(平均値)であり内側、外側腓腹筋間で差違は観られなかった.しかし、短距離走群では外側腓腹筋(低周波数帯域/高周波数帯域;8.3Hz/15.8Hz)で内側腓腹(6.8Hz/14.2Hz)よりも高値を示した.発揮筋力に依存してそれぞれのピーク周波数は高値へ移行した.長距離走群でのこの変化動態は内側、外側腓腹筋で差違がなかったが、短距離走群では常に外側腓腹筋で高値を示した. 以上の結果のように、筋振動波形の処理解析は表面筋電図から得られる知見に比して競技特性を大きく反映することが判明し筋の機能差を論議できる可能性を示した.しかし、筋振動の仕組みは未だ結論つけられておらず、本結果が直ちに筋の機能特性と結びつくと結論する事は早急であろう.基礎的な立場と応用的立場、両方向からの検討が重要となろう.
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Research Products
(1 results)