1996 Fiscal Year Annual Research Report
発汗反応の中枢性・末梢性要因と皮膚血流量の応答に対する長期運動鍛練の影響
Project/Area Number |
08680128
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山内 正毅 長崎大学, 教育学部, 助教授 (00128232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大渡 伸 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (80128165)
松本 孝朗 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (60199875)
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Keywords | 皮膚血流 / 発汗の拍出頻度 / 暑熱順化 / 運動鍛練 / FFT |
Research Abstract |
本研究では、運動鍛練者と非鍛練者の発汗量と血流量との関係や発汗波の周期性を解析し、両群間比較することで発汗の中枢性・末梢性機序を明らかにすることを目的とした。 被験者は、Athletes群として運動部に所属する健康な男子学生6名とNon-Athletes群として定期的な運動を実施していない健康な男子学生5名であった。被験者にはインフォームドコンセントを得た。実験は本学熱帯医学研究所環境生理学教室の小坂教授のもとで実施した。人工気象室内条件は26.6℃、33%rh。運動負荷は50%VO2maxの強度で20〜30分の自転車運動を実施。主な測定項目は、鼓膜温、皮膚温、局所発汗量、発汗波、皮膚血流量とした。 運動開始直後に両群とも鼓膜温、皮膚温ともに初期降下を示した。運動中の鼓膜温の変化は両群ともほぼ類似した傾向を示したが、平均皮膚温の変化はNon-athletesに比べ、Athletesの初期降下が小さく運動中の上昇は急峻であった。運動中の発汗量はAthletesで少なかったが、有意な差ではなかった。また、運動中の平均拍出頻度および平均体温に対する拍出頻度はNon-athletesに比べてAthletesで少なかったが、各被験者の平均体温の上昇の対する拍出頻度の反応性はAthletesにおいて良く対応していた。このことから、Athletesは中枢性のより繊細なコントロールがなされていると推察される。一方、拍出頻度に対する局所発汗量の回帰直線はAthletesにおいてやや緩やかであった。前腕皮膚血流量は運動開始後やや減少したが、その後しだいに増加し、6-10分で急激な上昇を示した。両群とも血流量の増加傾向は、体温の上昇傾向と対応した。拍出頻度のFFTによる分析では0-0.2Hzにピークがあるのは両群同様の傾向であったが、Non-athletes群ではAthletes群に比べ0.3-0.6Hzに高スペクトル値を示した。このような周波数特性が何を意味するのかは現在のところ不明であり今後の検討が必要である。発汗波のFFTによる分析は今後詳細な検討を必要とする。
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