1997 Fiscal Year Annual Research Report
老化に伴う骨格筋の興奮収縮連関機能不全と筋細胞内膜系の超微細構造変化の関連性
Project/Area Number |
08680130
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
竹倉 宏明 鹿屋体育大学, 体育学部, 助教授 (00206963)
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Keywords | 骨格筋 / 興奮収縮連関 / 筋小胞体 / T管 / 加齢 / 筋収縮 / トレーニング |
Research Abstract |
骨格筋の収縮は興奮収縮連関と呼ばれる一連の細胞機能によって極めて精緻に調節されており、筋細胞中へ情報伝達を行うT管、筋細胞におけるカルシウム(Ca^<2+>)の貯蔵器官である筋小胞体(SR)及びその両者によって形成されるトライアドという筋細胞内膜系において行われている。本研究では、老齢ラット下肢骨格筋を対象として、加齢に伴う筋収縮機能の低下と筋細胞内膜系の構造上の特性を併せて検討することにより、筋細胞の機能的変化と構造的変化の関連性を明らかにし、加えて、運動トレーニングにより加齢に伴う退行性変化を軽減できるか否かを検討することを主たる目的とした。本年度は、老齢ラット(1年齢及び2年齢)の下肢骨格筋(ヒラメ筋及び長指伸筋)に対する不活動並びに走行トレーニングの影響を検討し、加齢に伴う活動量の減少に依存する骨格筋の機能低下が身体活動の増加によって改善されるか否かを検討した。不活動に伴い骨格筋は萎縮し、筋細胞内膜系に形態的変化が生じた。4週間のギブス固定によりT管の走行が乱れ、SRの構造破壊も観察された。これらの形態的変化は発生の初期段階に見られる形態的特徴に類似しており、特に速筋である長指伸筋において顕著であった。不活動の継続に伴いトライアドの数が減少し、2本のT管を3つのSR終末漕が挟む特殊構造体が増加した。これらの形態的変化は、不活動に伴う骨格筋の収縮不全を代償するための形態的変化であるものと推察された。トレーニングはこれらの退行性変化を抑制し、その効果は特にヒラメ筋で顕著であった。加齢に伴う骨格筋の構造及び機能的特性の退行性変化は主に速筋に生じ、トレーニングによる退行性変化の軽減は遅筋に観察されたことから、実際に負荷する運動の強度と時間が特に重要であり、その組み合わせによっては加齢に伴う骨格筋の退行性変化を十分軽減できるものと推察された。
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