1997 Fiscal Year Annual Research Report
大学体育の視聴覚教材の開発:身体・スポーツ文化論的にみた「語り」の映像化
Project/Area Number |
08680136
|
Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
山口 順子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (70055325)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 則子 津田塾大学, 学芸学部, 専任講師 (00184763)
|
Keywords | 視聴覚教材 / 大学授業評価 / 学習効果 / 運動経験 / 動きの満足度 / 身体の自由度 / 語り / 身体・スポーツ文化 |
Research Abstract |
今日、身体やスポーツ・ダンスに関わる文化論的資料が豊富に蓄積されてきているにも関わらず、一般の学生が、人間の身体運動の意味や運動経験の根源的なはたらきについて考える機会はきわめてとぼしい。とくに実技を中心とした授業の場で、自分のからだの内側から体験される世界を、他者や環界と結びつけていくためには、しかも限られた授業時間内にそれをきめ細かく実現していくには、人間の運動の存在論的意味に関わる文化論的資料を盛り込んだ視聴覚教材の開発が不可欠である。 本研究では、教養としての体育学関連の授業の場を豊かにする視聴覚教材の開発を、初年度は、(1)「語り」の理論的枠組みの検討、(2)身体・スポーツ文化論の映像化(シナリオ作り)を学生の紙芝居作品によって試みるとともに、スポーツ・ダンス関連の映画、ドキュメンタリ映像など収集可能な既成作品をも参考にしつつ、北米およびアジア地区での現地取材(映像収集)を実施した。 次年度は、(3)コンピュータ画像やビデオ画像を活用して、教師と学生による文化論的なシナリオ作りとその映像化を試みること、(4)学生が自己の運動経験を語り記述化する方法論的検討を行うことであった。最後に(5)教材としての映像の成果と学習効果を評価する調査が、「動きの教育」を履修した津田塾生121名<3クラス>を対象として、授業前後に実施された。実技の授業例として、今回は、「なわとび」の運動技術を学習する過程において、自己の身体の動きの意味と文化論的意味とをどのように関わらせることができたのかを検討するために「動きの満足度」「身体の自由度」の観点から学習効果が分析された。その結果、大学体育の映像教材の開発は、<画像+言語>という運動経験の語り方と映像資料の語らせ方、つまり身体的行為と言語的行為の関係に一層の検討を加えることでより充実した教材を編むことが可能であることが明らかとなった。
|
-
[Publications] 山口順子: "語りとしての運動経験" (日本体育学会)体育原理研究. 第28号. 発行予定(印刷中) (1998)
-
[Publications] 山口順子: "ボディワークの現在" 体育の科学. 48巻2号. 92-95 (1998)
-
[Publications] 山口順子: "スポーツ映像文化の現在" 体育の科学. 47巻4号. 236-238 (1997)
-
[Publications] 山口順子: "痩身「神話」を越える身体の神話的な時間の再生" 体育の科学. 46巻11号. 885-890 (1996)
-
[Publications] 井上則子: "ビデオ教材を用いた大学体育の授業評価" 津田塾大学紀要. 第30号. 67-83 (1998)
-
[Publications] 井上則子: "オリジナルビデオを用いた「大学体育」の授業実践" 津田塾大学紀要. 第28号. 199-205 (1996)