1997 Fiscal Year Annual Research Report
ESR分析法による東アジアの風成・塵起源石英の同定
Project/Area Number |
08680187
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
成瀬 敏郎 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (60033510)
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Keywords | ESR / 風成塵 / 酸素空格子信号強度 / レス / 最終氷期 / 東アジア |
Research Abstract |
1)東アジアのシベリア、韓国、中国、日本、台湾、ニュージーランド、トルコ、オーストリアに堆積するレス・風成塵に含まれる石英についてESR分析による石英の酸素空格子信号強度を測定した。その結果、第四系:<0.7、第三系:2.0〜2.8、中・古生界:3.3〜4.7、先カンブリア岩:11.0〜17.1の測定値(2.51E+13vacancies/g)を得た。 2)日本列島の福井県以北はシベリア、モンゴルなどの先カンブリア岩分布地域から冬季北西季節風によって高緯度コースを、福井県〜沖縄島までは中国内陸部の乾燥地域から夏季亜熱帯偏西風ジェット気流によって中緯度コースを、宮古島〜与那国島まではインド、中国南部の先カンブリア岩地域から冬季亜熱帯偏西風ジェット気流によって、それぞれ運ばれ堆積したものであり、ESR分析による風成塵石英の産地同定によって過去の卓越風の復元が可能になった。 3)台湾のレスは現地性風成物質の混入が多く、ニュージーランド北島の土壌には火山灰の混入が多く、ともに酸素空格子信号強度が低い。ニュージーランド南島のレスのうち細粒(30μm以下)物質は、先カンブリア岩が広く分布するオーストラリア大陸から偏西風によって運ばれた可能性が高い。 4)東アジアの風成塵は、最終氷期中の寒冷な時期、例えばDansgaad-Oeschger cold eventやHeinrich eventに短期間に集中的に堆積した。風成塵の堆積がチベット高原のアルベドに変化をもたらした結果とみられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 成瀬敏郎: "電子スピン共鳴(ESR)による中国・韓国・日本の風成塵起源石英の同定" 第四紀研究. 35-1. 25-34 (1996)
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[Publications] 成瀬敏郎: "電子スピン共鳴(ESR)による東アジアの風成塵石英の産地同定" 地理学評論. 70-1. 15-27 (1997)
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[Publications] 成瀬敏郎: "レス・風成塵からみた最終氷期のモンスーンアジアの古環境とヒマラヤ・チベット高原の役割" 地学雑誌. 106-2. 205-217 (1997)
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[Publications] 鈴木裕治: "福井県敦賀、中池見湿原泥炭層中の風成塵からみた古気候変動" 月刊地球. 19-8. 521-525 (1997)
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[Publications] Ono,Yugo: "Snowline elevation and eolian dust flux in the Japanese Islands during isotope stages 2 and 4." Quatarnary International. 37. 45-54 (1997)
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[Publications] 成瀬敏郎: "日本における最終氷期の風成塵堆積とモンスーン変動" 第四紀研究. 37(印刷中). (1998)