1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
杉原 重夫 明治大学, 文学部, 教授 (90061978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
叶内 敦子 明治大学, 文学部, 講師 (50194882)
小疇 尚 明治大学, 文学部, 教授 (10061897)
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Keywords | 多雪山地 / 最終氷期 / ヤンガードリアス期 |
Research Abstract |
本年度は,長野県北部(北信地域)から新潟県南部(上越地域)に位置する,北ドブ湿原,沼の原湿原,茶屋池湿原で調査を行った.この地域は,日本海側多雪地(上越地域)と内陸寡雪地(北信地域)の境界地域に相当する.ボーリング調査によって各湿原から採取した堆積物について,テラフの検出,年代測定,花粉分析を行った.その結果,テラフについては,鉱物組成と火山ガラスの屈折率から妙高山起源のテラフが数枚含まれることが明らかになった.堆積物の年代と合わせて考察すると,現在知られている妙高火山起源のテラフの中で最終氷期の寒冷期以降のどの噴出物と対比できるかは次年度の課題である.堆積物の年代については,北信・上越地域の湿原堆積物の基底年代は約2万年前〜3万年前の最終氷期の寒冷期に達することが明らかになった.花粉分析の結果,最終氷期から完新世に至る時期に北欧のヤンガードリアス期に相当する短期間の寒冷期が存在し,日本海側の多雪化はブナ属花粉の変遷をもとに,完新世の温暖化開始以降に始まったことが明らかになった.完新世の温暖期には,ブナ属花粉が現在よりも高い比率を示し,現在よりも温暖であったことを示している.また,湿原堆積物の中に挟まれる粘土についてX線回析を測定し、堆積物中に遠来のダストが含まれることが明らかになった.以上の結果から最終氷期の多雪化の開始について新たな資料を得ることができた.次年度の調査地については,北信地域の寡雪地域に含まれる山地部の湿原数カ所を選定した。
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Research Products
(2 results)