1998 Fiscal Year Annual Research Report
幼稚園教員の環境問題・環境教育に対する意識と実態の調査研究
Project/Area Number |
08680212
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Research Institution | Himejigakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
井上 美智子 姫路学院女子短期大学, 児童教育科, 助教授 (80269919)
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Keywords | 兵庫県 / 環境教育 / 自然 / 保育者 / 保育研修 |
Research Abstract |
1998年9月に兵庫県内の公私幼稚園と神戸市内の保育所のうち、調査報告を希望した回答者(回答園)371名に、調査報告を送ると共に、保育者研修の実態についての質問紙法による調査を行った。回答園は159名(回収率42.9%)であった。調査の目的は、保育者の研修に参加している回数や頻度の実態を知ると共に、自然や環境に関する研修の実施程度、望まれている内容などを把握することである。 まず、年間に研修に参加する回数は一人あたり平均5回以内(46.0%)、10回以内(30.7%)という回答が多く、勤務園によって研修の機会は様々であった。参加する時期は8月(全回答の内27.1%)、11月(17.1%)、7月(15.2%)が多かった。自然や環境を対象とした研修の機会は、「非常に多い」または「やや多い」と答えたのは回答者の1割強で、4割が「普通」、残る5割は「やや少ない」あるいは「非常に少ない」とし、研修の機会は多くても自然や環境をテーマとした研修の機会は少なかった。自然や環境についての研修が企画された場合、参加したいかどうかという問いには「非常に思う」あるいは「かなり思う」と回答したのは6割を越え、現状では研修内容に自然や環境についての内容が企画されていないから参加していないのであって、あるにもかかわらず参加していないのではない。つまり、保育者側の意識の問題ではなく、研修の機会自体が設定されていないということであろう。 自然や環境についての研修が企画された場合、参加したいと思う内容は「自然と触れ合う遊びの指導法を豊かにする」(32.4%)、「保育における環境教育のあり方について理解を深める」(28.4%)という回答が多く、研修方法は「指導法などを実際に体験できるようなワークショップ」(29.4%)、「専門講師による講演」(23.4%)、「実物を前に知識を深められるような専門家による観察会」(22.8%)という回答に分かれた。 以上から、研修の機会としてあれば、幼児期の環境教育について理解を深め、実践へ結びつけていきたいという意欲がうかがえる。今後は、こうした現場保育者の研修への意欲を無駄にせず、保育における環境教育のあり方を考えていける場としての研修を企画していく必要がある。その場合、(1)環境教育とは何かについての基本的な理解、(2)環境に配慮したライフスタイルを保育者自身がもつ重要性の理解、(3)環境教育の視点から見た自然遊びの指導力を高める、(4)保育者の職業倫理として環境倫理を意識することが求められる。
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