1996 Fiscal Year Annual Research Report
不登校の一要因となる教師の強制的コミュニケーション・スタイルの分析
Project/Area Number |
08680222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大河原 清 岩手大学, 教育学部, 教授 (40168878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上谷 順三郎 岩手大学, 教育学部, 助教授 (10233941)
望月 善次 岩手大学, 教育学部, 教授 (40125480)
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Keywords | コミュニケーション・スタイル / メッセージ / わたしメッセージ / あなたメッセージ / 不登校 / 学級通信 / 教師学 / 教師の言葉 |
Research Abstract |
平成9年度は、言語的メッセージを主とする教師の強制的なコミュニケーション・スタイルと、指導観、そして、これらに対する児童の受容とを、同時に取り扱う目的で、教師の授業場面における生の発言ではなく、教師の発言を文字化したものとして学級通信記事を取り上げ、実験を進めた。 本研究上、依拠した考え方は、『教師学』(T.Gordon(1985),近藤千恵(1993)における「わたしメッセージ」(教師の気持ちの素直な発言)と「あなたメッセージ」(教師の権威的機能を反映した強制的発言)である。これら2種類のメッセージは、教師と児童の間で、問題状況に応じて、教師のコミュニケーション・スタイルが強制的になったり、そうでなくなったりするものであり、「不登校はどの児童にも起こりうる」に対応して、「どの教師にも不登校の児童を作りやすい」というものを、理論的に説明しているものであり、本研究に最も適した理論として採用した。 高校生185名、大学生54名を被験者として、学級通信記事の表現を強制的な「あなたメッセージ」から、そうでない「わたしメッセージ」に変更する実験をした結果、高校生や大学生が、教師に対する親近感を増すこと、強制されているというよりも、むしろ、自主的で積極的なやる気を引き起こすことを実証することができた。また、「わたしメッセージ」への変更のためには、メッセージを発する気持ちの在り方、つまり、教育観のような、教師が児童に対して抱く人間観の方を深く認識することの方が、表現そのものの変更を容易にすることが示唆された。 平成10年度は、小・中学生を対象にして、現在収集を続けている授業記録の中から、教師の強制的コミュニケーション・スタイルに相当する部分を抽出し、非言語的メッセージを含んだ形での教師の強制的コミュニケーション・スタイルの受容について調べる予定である。
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Research Products
(1 results)