Research Abstract |
子どもの,学習相談や学習情報の入手の目的でのメーリングリスト利用実践の要件を抽出するために,小学校において,子どもが学校外の学習支援者とのメーリングリストによる電子メールのやりとりをおこなう実践を設計,実施,評価した。この実践では,これまでの知見を参考に,メーリングリスト以外に多様なメディアを用い,クラス全体で学習成果についての「討論」の時間を複数回設けた。分析の結果,以下の知見がえられた。 1 主体的に探究する学習活動を促進する要素としては,以下が抽出された。(1)実践の最初の段階で課題意識をめばえさせる適切な情報の提示をおこなう。(2)メーリングリストに寄せられた子どもからの質問に対し,学習支援者が質問,疑問に直接答えることよりも,ファクスや電話,手紙,WWW,本で○○○を調べたらいい,というアドバイスをする。(3)学習支援者が,子どもの疑問に寄り添って共感しているというメッセージを継続的に送る。(4)実践の中で,子どもが自ら調べてわかったことを表出する機会を設ける。 2 学習支援者が子どもたちとのコミュニケーションを円滑に行うための要素としては,以下が抽出された。 (1)学習支援者の適切なアドバイスができるように,教師または,授業や実践を現場で良く観察している者が,学習支援メーリングリストに解説したり,学習支援者からの質問に答えたりする。(2)学習支援メーリングリストには,クラス全員が登録するのではなく,使いたいと思った子どもだけが登録する。 3 その他,学習過程において観察されたことは以下のとおりである。 (1)「討論」で発表したいという子どもが増えていったが,積極的に発表しなくとも,「討論」で他の子どものいろいろな意見をきくことを重要だととらえ,「討論」での他の子どもの意見,考えから学んでいる子どもがいた。
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