1997 Fiscal Year Annual Research Report
学校教育におけるコンピュータ利用の特質、問題、課題の解明を目的とする質的観察研究
Project/Area Number |
08680231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大谷 尚 名古屋大学, 教育学部, 助教授 (50128162)
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Keywords | 質的研究 / 研究手法 / コンピュータの教育利用 / 授業研究 / 学校文化 / 学校教育 / インターネット / フリースクール |
Research Abstract |
1.学校教育における新たなテクノロジーの文化的同化について 新たなテクノロジーを旧来の教室文化に文化的に同化する「文化的同化傾向」の理論を強化するため、観察を継続して事例を収集するとともに、教育委員会所蔵の教育実践に関する文献資料を対象とした研究を行った. 2.授業におけるインターネットの利用について 授業におけるインターネットの利用の際の現状の問題と今後の観察・調査・分析した.そこでは、(1)図書や視聴覚資料等の旧来のメディアとの特性の違いの明確化と役割分担の問題、(2)非学習目的の情報を学習目的に活用する際の問題、(3)インターネット利用に固有な知識・技能の問題、(4)インターネット利用に固有なトラブルの問題(5)情報公開に関する教育行政上の態度と学校の実体とのコンフリクトの問題(6)学習に用いる情報の権威や信頼性の起源の問題と主体的な情報批判や情報評価の問題、等を検討した. 3.インターネットの教育利用と学校文化とのコンフリクトについて 報告者が従来から指摘している、モダンかつプリモダンな学校文化とインターネットのもたらすポストモダンな文化とのコンフリクトの問題をさらに深く追究するため、ポストモダンな文化的特性を有すると考えられるフリースクール(オルターナティブスクール)におけるインターネット利用について観察を開始し、記録作成と分析を継続した. 4.質的研究法に関して 以上の研究に用いている質的研究法について、研究手法の検討、開発、改善を行った.
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[Publications] 大谷 尚: "現代社会の中の学校-現代都市社会の中の学校と若者の都市行動を考えるてがかりとして-" 先進工業国における現代都市社会の諸問題((財)中部開発センター). 47-64 (1997)
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[Publications] 大谷 尚: "情報ネットワークと大学-ネットワーク社会における行動と新たな知のあり方を考える-" 大学と教育. No.21. 18-28 (1997)
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[Publications] 大谷 尚: "子どもの成長とコンピュータ" 子とともに. No.505. 22-27 (1997)
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[Publications] 大谷 尚: "質的観察研究とその知見の一事例-教室における新しいテクノロジーの文化的同化の理論化-" 教育工学関連学協会連合第5回全国大会講演論文集. (第一分冊). 37-40 (1997)
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[Publications] 大谷 尚: "情報ネットワークの教育利用と学校文化-インターネットが学校にもたらすもの-" 日本教育方法学会第33回大会発表要旨. 82-82 (1997)
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[Publications] 大谷 尚(分担): "質的研究法による授業研究-教育学・教育工学・心理学からのアプローチ-" 北大路書房, 311 (1997)
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[Publications] 大谷 尚(分担): "大学授業の技法" 有斐閣, 293 (1997)