1996 Fiscal Year Annual Research Report
重症心身障害児における能動的コミュニケーション過程の評価と促進方法に関する研究
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08680265
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
北島 善夫 千葉大学, 教育学部, 助教授 (70260479)
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Keywords | 重症心身障害者 / コミュニケーション / 注意 / 期待 / 援助 / 心拍反応 |
Research Abstract |
1.重症心身障害児・者における注意機能の評価 重症者14名を対象に、注意喚起機能を評価する呼名条件、注意維持機能を評価する視聴覚複合刺激呈示条件の2条件において、行動反応および心電図を記録した。2名により注視行動の有無を観察し、各時点の注視行動生起率を求め、さらに注視行動潜時と平均持続時間を算出した。その結果、対象者は以下の3群に分類された。A群(6名):喚起・維持良好群(潜時2秒未満、平均持続時間5秒以上)。B群(6名):喚起・維持可能群(潜時2秒以上、持続時間2.5〜5.0秒)。C群(2名):喚起困難群(生起率自体が極めて低い)。(上記については、日本特殊教育学会第35会大会にて発表予定)。これらの注視行動の生起様相は、心拍反応の評価結果(第34回報告)と対応した。2.重症心身障害児・者における援助条件下における期待反応の促進 能動的コミュニケーションの1つである「働きかけに対する期待」の促進方法を検討するために、単独条件と援助条件においてS1-S2刺激事態で上記同様の測定を行った。対象者は、A群とB群に属する7名とした。援助者は、各刺激に対する注意喚起やS1-S2間隔における注意維持、S2に対する共感を意図した触刺激を伴う言語的働きかけを行った。その結果、行動反応には快の情動表出の増加、心拍反応には減速反応の明瞭化が認められ、援助による促進効果が確認された。援助の効果を、反応促進の背景となる覚醒水準の上昇を含め、持続性心拍変動より多水準的に検討する必要がある。また、C群に属する者の援助方法について検討を行う必要がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 北島善夫: "重症心身障害者における人の働きかけに対する期待に関する生理心理学的研究(3)-S1-S2パラダイムにおける心拍変動パタンに関する研究動向-" 千葉大学教育学部研究紀要I・教育科学編. 44. 189-198 (1996)
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[Publications] C.Ogura et al.(Eds.): "Recent Advances in Eevent-Related Brain Potential Research : Proceedings of 11th International Conference on EPIC" Elsevier Science B.V., 1098(10) (1996)