Research Abstract |
(1)技術科の授業における教材の利用と効果について:名古屋市内の中学校で行われた「電気」領域の単元「音センサ付蛍光灯の設計」の1時間の授業のビデオテープを用いて,使用されている教材と生徒の反応の関係を検討した。分析の方法は,50分の授業を30秒ずつに区切り,使用されている教材を順に調べた。生徒の反応は,過去の経験に基づき教室の雰囲気を5段階に分け,30秒ごとに評価した。結果において,生徒の反応と使用されている教材の関係に関しては,生徒の反応が高いときは,生徒の考えた回路が教師実験により行われたり,また,教師がOHPを使用して生徒の親しみやすい例え話をして説明をしていることが分かった。教材別の使用時間に関しては,「発言」が最も多く,授業の半分を教師が口頭で教授していた。黒板上で用いられた「模型」と「実物模型」の時間を合計すると,「模型」を除いた「黒板」の使用時間と「OHP」の使用時間,「模型」,「実物模型」の使用時間は,ほぼ同じであった。 (2)技術科教師を対象とした教材に関するアンケート調査:3都県の公立中学校150校の技術科教師を対象として,技術科の授業における教材についての意識調査を行った。回答校は44校で,回収率は29.3%であった。調査項目は,教材の定義,種類と分類,自作教材,開発の視点,生徒に与える影響,技術科と教材,女性技術科教師と教材等に関する11項目である。結果を示すと,技術科の教師の多くは,教材の定義を一般的な定義の「学習内容を媒介するもの」と捉えていること,開発した教材は,具体的な名称はあまり示されていなかったが,内容では環境問題等今日的課題に関するものが多かったこと,教材を開発する視点は,生徒の学習活動が効率よく行われるか否かということ,教材が生徒の成長・発達に与える影響として,物作りに対する感性を養えると考えていること,等が得られた。
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