1997 Fiscal Year Annual Research Report
算数・数学の教育課程の実施状況と教育方法改善の学校ケーススタディー
Project/Area Number |
08680292
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Research Institution | NARA UNIVERSITY OF EDUCATION |
Principal Investigator |
重松 敬一 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (40116281)
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Keywords | 教育課程 / 算数・数学教育 / 算数・数学嫌い / 問題解決 / ケース・スタディー / アンケート調査 / インタビュー / 授業観察 |
Research Abstract |
最近の算数・数学嫌いを減少させることは,科学技術立国としての日本の課題である。この問題の解決には,教育方法の工夫だけでなく,教育課程をも合わせて検討することが必要といえる。とくに,小学校高学年と中学校の検討が急務である。 したがって,日本の小学校と中学校の算数・数学の教育課程の実施状況と教育課程及び教育方法の改善状況を学校のケース・スタディーによって調査し,モデルとなるような実践事例を記録するとともに,指導及び学習の変化を記述し,今後の義務教育改善の具体的視点を検討した。 平成9年度においては,平成8年度に実施した調査結果を分析すると共に,学会や研究会で公表された教育課程,実践,児童・生徒の達成に関連する報告資料と比較し,ケース・スタディーの調査の妥当性を検討した。 結果として,新しい学力観による教育課程の理解は,学校や教師の中で一層深まっているものの,中学校の実践においては,上級学校への進学等の現実課題から,知識理解や技能習熟を中心とした学習指導が依然として強いことが明らかになった。その中でも,児童・生徒の算数・数学嫌いを少しでも減少させる学習指導の方策を探るべく,好き嫌いのメカニズムのモデルや,授業展開での学習メカニズムのモデルをもあわせて提言した。また,義務教育の教育課程に関しては,児童・生徒の学習指導が学校教育の閉じた世界でのものになりがちであるので,数量関係の領域における数学的な見方や考え方の育成を一層進めるべく,数学的探究活動の領域にすることなどを提言した。
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[Publications] 重松 敬一 他: "中学校の数学的能力の発達・変容に関する調査研究(1)-1年次「潜在力」及び「数」調査結果の分析-" 全国数学教育学会誌 数学教育学研究. 3. 165-177 (1997)
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[Publications] 重松 敬一 他: "中学校の数学的能力の発達・変容に関する調査研究(2)-「数」得点の変容について-" 全国数学教育学会誌 数学教育学研究. 3. 179-187 (1997)
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[Publications] 重松 敬一 他: "教師の算数教育観の研究" 奈良教育大学 奈良教育大学紀要. 46. 73-90 (1997)
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[Publications] 重松 敬一 他: "小学校算数科・中学数学科のカリキュラムの改善" 日本数学教育学会 第30回数学教育論文発表会論文集. 205-210 (1997)
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[Publications] 重松 敬一 他: "数学教育におけるメタ認知の研究(12)-メタ認知と単元を通しての児童の知識変容の分析-" 日本数学教育学会 第30回数学教育論文発表会論文集. 43-48 (1997)