1998 Fiscal Year Annual Research Report
地域における伝統的音楽文化の理解に関する研究-保育科学生の実践を通して-
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08680309
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Research Institution | Nakamura Gakuen Junior College |
Principal Investigator |
久富 さよ子 中村学園大学短期大学部, 幼児教育科, 助教授 (50078549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松園 聡美 中村学園大学短期大学部, 幼児教育科, 助手
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Keywords | 幼児 / 音楽教育 / 民俗芸能 / 保育科学生 / 文化 / 遊び / 祭り / 地域 |
Research Abstract |
l 地域における伝統的音楽文化の調査:岩手県遠野市、沖縄県那覇市、宮崎県高千穂市、福岡県那珂川町における祭りと伝統芸能を昨年度と同じ方法で、子どもと音楽の観点から調査した。那珂川町伏見神社では、今回、小学生が神楽を演じている。また中学生、高校生が舞だけでなく、おはやしも担当している。伝え聞いた他の地域の人たちが鬼に我が子を抱いてもらおうと数多く集まり、祭りは昨年以上のにぎわいをみせた。演じる人と見る人との相互作用で神楽が変化し、作られていく姿をとらえることができた。岩手県遠野市では350年の歴史をもつ「南部ばやし」を長年関わってきた人の立場から調査した。併せて南部ばやしのおはやしの練習方法についても調査した。また今回は高千穂の夜神楽の神迎えの段階を詳細に調査することができた。 2 保育内容「表現音楽」の授業における実践と理解:今年度も昨年同様、次の3つの方向からの指導を行った。(1)遊びの実践 (2)本研究者が撮影した祭りをビデオによって音楽および子どもを中心とした観点から説明し、それぞれの地域における伝統的な芸能を理解させた (3)学生の住んでいる地域における祭りへの参加の奨励および地域の民謡をとりあげ実践した。今回は特に沖縄地方の「エイサー」をとりあげ、実演を鑑賞させるとともに実践を試みた。学生は沖縄のエイサーを演じている人たちが同じ大学生であることやエイサーを熱中して踊る姿に共感と感動を覚えたようだ。またエイサーのダイナミックさは学生の感覚に受け入れやすかったようである。実践終了後の感想を自由記述の方法で調査した。 3 研究のまとめ:福岡県那珂川町、岩手県遠野市、沖縄県那覇市、宮崎県高千穂町のように同じ祭りを毎年継続的に調査することで、伝統的な音楽文化とは、常に動き変化するものであることを感じた。そして変化の要因のひとつとして、聴衆の芸能を受けとめる態度が関係していることが考えられた。また、授業におけるエイサーの実践や学生が住む各地域の民謡の実践、およびその時の学生の反応から、学生にはすでに民謡を受け入れる基盤が準備されていることが推測された。なお研究の一部を九州地区大学音楽教育学会において口頭発表し、同学会誌に投稿した。
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Research Products
(1 results)