Research Abstract |
本研究は,平成6〜7年度文部省科学研究費補助金による研究の第2段階として統計的判別分析における2群判別の誤判別確率に対する漸近展開公式に対するパラメーターの有効範囲を求める研究を行った.2群の正規母集団の下で,2群に対する誤判別確率(PMD)は,Wald-Andersonの判別統計量に基づき計算されるが,正確なPMDは求められず,Okamoto(1963,1968),Siotani and Wang(1975,1977)による漸近展開公式より,近似的なPMDを求めている.この公式は,次元p,サンプルサイズn,Mahalanobisの汎距離Δの関数となっているため,応用上,パラメーターの組(点)(p,n,Δ)の範囲を予め設定しておく必要がある.その設定を行うため,漸近展開公式によるPMD値のグラフを種々の点(p,n,Δ)に対して描き,漸近展開公式が有効と思われる(p,n,Δ)の範囲Dを求めておく.次に,D内のいくつかの点(p,n,Δ)に対し,漸近展開公式とMonte Carlo数値実験双方によりPMDを求め,その絶対誤差により,誤差上限に関する実験式U_T≡U_T(p,n,Δ)=Kp^ρn^λexp{α(Δ-0.6)}(1+ε),(p,n,Δ)∈Dの定数K,α,ρ,λ,εを推定した.そして,この実験式の有効性を吟味するため,定数K,a,ρ,λ,εの推定に利用しなかったD内の点に対して,絶対誤差により評価した結果,あまり実用的でない状況を除き,実験式が有用であることが確認でき,漸近展開公式を利用するユーザーに対して,有効な指針を与えることが出来た.さらに,現在,WilksのΛ統計量に対しても同様な実験式を考案中であり,これについては,機会があれば報告する予定である.
|