Research Abstract |
仮想世界を構築するためには,多次元空間中のオブジェクトを効率的に管理し,空間中のオブジェクトの高速な検索,柔軟な操作が必要不可欠である。本年度は,三次元空間中のオブジェクトの空間位置と時間的な変化を効率的に管理する方式を検討し,時間とともに状態が変化する空間データの管理構造,PMD木を発案した。更に,時間とともに位置や形状が変化する空間データを管理するために,時空間外接長方形(TSBB:Time Space Bounding Box)の概念を導入した時空間データ管理方式を開発した。この時空間データ構造により,時間と位置を指定した空間検索が高速に実行でき,時空間内でのウォークスルーが実現できる。三次元世界の構築方式として,3次元の形状モデルを作成することなく,2次元地図と撮影した写真から仮想空間構築方式を提案した。都市を水平な面(地面,床),垂直な面(ビルの壁など),天井(もしくは,空)でモデル化する。すなわち,地図上の家型(多角形で表現される)は,ビルの平面形状を表すと考え,その位置に垂直な壁が存在するものとする。ある視点から撮影した写真に対して,撮影位置,方向,カメラ視野などのパラメータを計測しておけば,写真中のオブジェクトと地図上のオブジェクトとの対応が可能となる。ある視点からのシーンが必要なとき,全く同一の視点・視野の写真が存在すれば,それを提示すればよい。しかし,そのような写真が存在しない場合,その視点から見えるオブジェクトが写っている写真を検索し,射影変換することで,与えられた視点の画像を合成する。複数の写真に対象物体が写っている場合,見え方の最も近い画像を選択する。本研究では,更に,3次元オブジェクトを多次元データ構造で階層的に管理することで,膨大な3次元オブジェクトに対する空間演算,対話操作を高速,かつ効率的に実行できるデータ管理方式を開発した。
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