1996 Fiscal Year Annual Research Report
マルチメディア通信環境における識閾下効果による脅威への対策についての研究
Project/Area Number |
08680439
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
村山 優子 広島市立大学, 情報科学部, 講師 (20264955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 栄治 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (60242567)
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Keywords | セキュリティ / マルチメディア通信 / 識閾下伝意 / インターネット / 情報隠蔽 / 隠れ通信路(covert channel) / トロイの木馬 / 画像通信 |
Research Abstract |
今年度は、インターネットにおける識閾(しきいき)下効果による脅威について、先ず、毎年5月はじめに行なわれるIEEE Symposium on Security and Privacyで本研究課題について簡単な発表を行なった際得られたフィードバックに基づいて、問題定義と、マルチメディアのセキュリティ分野における本研究課題の位置づけなどの研究を主に行なった。 当初予定の対策の検討やモデル化までには至らなかったが、情報隠蔽(いんぺい)技術(steganography)の分野や、潜在通信路(sublimnal channel)など、これからの音声や画像を含むマルチメディア通信におけるセキュリティ問題を把握できたことは、本研究課題の特異性の認識に役立った。 シンポジウムでは、以下の3点について指摘された。 1.識閾下効果問題自体が心理学の分野で認められているか.すなわち、脅威として考えられるか。 2.情報隠蔽技術の分野との関連は何か。 3.G.Simmonsが定義した潜在通信路との違いは何か。 以上について調査を試みた結果、以下のことが判明した。 識閾下効果については、20年前には、小数派がその存在を主張していたが、現在では、その効果は認める学生が主流派となっており、実験心理学、心理的治療や教育などで使用されている。 情報隠蔽技術は、古来から存在する透かし技術などに端を発し、現在盛んに研究されている電子透かし(digital watermark)などのように、情報の中にメッセージを気づかれないように挿入する技術である。 識閾下効果問題は、トロイの木馬問題と同等である.これらの問題は,情報隠蔽の一例ととらえることもできるが,情報受信者はその存在に気付かないという点で,事前に受信者と送信者の間に通信路の存在に関しての合意がある潜在通信路とは本質的に異なる.
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