Research Abstract |
爆薬による化学薬品類の爆発処理を評価するためには,爆発条件(爆薬の種類,爆薬量,爆薬/薬品比,雰囲気、温度等)と爆発による分解率の関係を詳細に検討する必要があるが,爆発実験には安全性確保のための大型で堅牢な密閉容器の使用が必須であるため,そのことが,爆発生成物の全量回収,則ち分解率の評価を困難にしている。ここでは,爆薬として,限界薬量が小さい起爆薬と小型容器との組み合わせによる実験方法を新たに提案し,これを用いて,モデル物質の爆発分解実験を行い,爆発生成物の全量回収と生成ガス分析からモデル物質の分解率の評価を行った。その結果,モデル物質の分解率を全量回収を行うことなく,生成ガス分析のみから推算する可能性を見出した。このことにより,比較的大きな系での実験による分解率を生成ガス分析から評価することの可能性を示した。 次に,化学薬品の爆発分解による化学薬品処理の適用範囲を確認するための,化学薬品の爆発分解に対する試験法の確立の検討を行った。その適応可能性を調べる上で基本となる標準的な爆発処理実験法について検討する上で,まず,これまでに得られた知見に基づき,爆発容器の規模,サンプル形態を決定し,次に爆速測定実験を行い,爆薬量と爆轟伝播状態との関係を調べることにより,爆轟伝播が完全に起こる爆薬量に関する知見を得た。さらに,爆発処理における,有機化学薬品の分解性の定量的評価法について検討した。その結果,爆発処理において,爆発反応の進行に有利な条件である酸素過剰率が63mol.%程度以上の場合には,有機化学薬品の爆発分解性を評価するための標準的な方法として,ガス化率による評価が有効であることを示した。また,爆薬量,雰囲気,モデル物質と爆薬の接触形態がモデル物質の爆発による分解に及ぼす影響を考察し,標準的な爆薬量,雰囲気,モデル物質と爆薬の接触形態を定めた。
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