1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680452
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿久津 好明 東京大学, 工学系研究科, 助手 (30175814)
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Keywords | 窒素酸化物 / 芳香族ニトロ化反応 / 燃焼排気 / 気相スモ-クラジカル / ESRスピントラッピング法 / ラジカル前駆体 |
Research Abstract |
1.環境大気中でのニトロ化合物の生成に関する基礎的知見を得るため、非極性溶媒中におけるアルキルベンゼンとNO_2の反応性について調べた。その結果、反応は求電子的であり、環ニトロ化の選択性は基質のイオン化ポテンシャルに依存することが明らかとなり、この反応は、律速段階となるベンゼン環からNO_2への一電子移動により生成するラジカルカチオンが関与する機構であると考察された。 2.固定発生源から発生する燃焼排気中の窒素酸化物の変換挙動を、コンピューターシミュレーションにより解析した。その結果、環境大気中に排出直後のNOxのNO→NO_2変換には、排出ガス中のメタンの酸化反応から生成するHO_2によるNO+HO_2→NO_2+OHの反応の寄与が大きいことがわかった。また、NO_2の光分解および酸素原子との反応なども重要であることがわかった。一方、常温での反応機構についても考察し、NO→NO_2変換には、2NO+O_2→2NO_2を含む8種の反応の寄与が大きいことがわかった。 3.可燃物の燃焼スモ-ク中に含まれる、生体に有害であると考えられる高反応性で、見かけ上、長寿命の気相スモ-クラジカルの性質を調べるため、ESRスピントラッピング法により、液相中でのラジカル生成挙動について検討した。そして、燃焼スモ-クをバブルした溶液にラジカル捕捉剤を共存させた場合、ラジカルが減少せず、ジフェニルアミンの場合には、むしろ、増加することがわかった。これより、ラジカル前駆体として、今まで考えていたトリオキシドのほかに、アシルペルオキシドや過酸が存在する可能性が示された。
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