1996 Fiscal Year Annual Research Report
過疎社会における高齢者の日常生活上の困難とその緩和策に関する実証的研究-長野市近郊の山村におけるケース・スタディ
Project/Area Number |
08680477
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
下平 佳江 長野県短期大学, 生活科学科・人間工学研究室, 助手 (80261098)
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Keywords | 高齢化 / 過疎化 / 社会システム / 安全 / 農業 |
Research Abstract |
老年人口係数が現在既に30%を越えている地域で暮らす高齢者の日常生活の実態とその問題点とを実証的に明らかにし、日本全体の超高齢社会に備えて、社会システムを再編成する上で効果的な対応策を検討するために必要な基礎資料を求めることを目的として本研究を実施した。 平成8年度は、過疎山村に住む独居高齢者の日常生活において不便ないし困難と感じていることの実態、これらの高齢者と離れて暮らす子どもの親に対する意識および親の生活実態に関する認識状況などについて面接調査を実施した。 独居高齢者の健康状態や生活状況の変化等に関しては、中条村の6名について調査を実施した。その結果、加齡とともに体力や健康状態の低下が見られ、布団の上げ下げや入浴・用便等の日常動作の中にも不便を感じることが増えていた。特に農作業においては変化が大きく、栽培作物の軽量化および栽培面積の縮小あるいは農地の荒廃化などが見られた。子どもに対しては、家や農業の後継者として期待はしているが、実現は困難と諦めている人が多い。 一方、独居高齢者の子どもに関しては、居住地は長野市、東京都、埼玉県等であったが、なんらかの形で親の身の回りのことや農作業を手伝ったりしており、このことが高齢者の独居を継続可能なものにしていると考えられた。その関わり方は多様で、毎日電話をしたり毎週末に帰郷している者もいれば、年に数回は帰郷する者もいる。しかし中には比較的近くに住んでいてもほとんど親との関わりを持たない子どももいて、そうした場合は地域の住民のボランティア的活動で高齢者の生活が支えられていた。 現在これらの面接調査の結果をもとに質問紙を作成し予備調査を実施している。この結果を踏まえて平成9年度は対象者を増やして調査を実施し、独居高齢者とその家族にとって適切な支援や有効な社会的整備を考える基礎資料を得る予定である。
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