1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680550
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Research Institution | the University of Tokyo |
Principal Investigator |
小橋 浅哉 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60114477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 勝至 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90251412)
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Keywords | 紙 / 新聞 / 書籍 / 天然放射性核種 / セシウム137 / 放射能 / 填料 / フォールアウト |
Research Abstract |
1 これまでのわれわれの研究により、書籍の^<137>Cs濃度と発行年の関係は、1960年代半ばにピークがあるパターンを示し、^<137>Csフォールアウト降下量の年変化のパターンによく似ていることがわかっている。その原因明らかにするために、国内で1960年代に印刷された書籍について、中身と表紙に分けて^<137>Csの含有量を測定した。また、表紙の芯材として使用されている板紙の種類を調べた。その結果、板紙の種類は、1960年代半ばまでは稲わらを主原料とする黄ボールであるが、それ以降は半黄ボール(黄ボールとチップボールの中間)、さらに古紙を主原料とするチップボールに切り替えられたことがわかった。中身はほとんど^<137>Csを含んでいなかった。表紙については、芯材が黄ボールのものは^<137>Cs濃度が高く、チップボールのものはほとんど^<137>Csを含まず、半黄ボールのものは両者の中間の濃度を示した。このことから1960年代発行の書籍に含まれる^<137>Csは、ほとんど稲わらから来たことがわかった。書籍中の^<137>Cs濃度パターンと^<137>Csフォールアウト降下量のパターンの類似は、(1)1960年代半ばまでは表紙の芯材が稲わらであり、書籍の^<137>Cs濃度は稲わらの^<137>Cs濃度を反映すること、(2)1960年代後半は表紙の芯材が半黄ボール、チップボールに切り替わったため、書籍の^<137>Cs濃度が減少すること、により説明できる。 2 今日わが国では、紙類は多量に捨てられ、その大部分はごみ焼却場において焼却処分されている。われわれの研究で得られた書籍、新聞および情報用紙に含まれる放射能の測定データをもとに紙類の燃焼に伴いごみ焼却場から排出される放射能の影響について考察した。すでにこのような研究が行われている石炭との比較すると、紙類は、燃やされる量、放射能濃度のどちらについても少ないと見積られ、焼却に伴い排出される放射能の影響は石炭より小さいと推定された。
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Research Products
(1 results)