1996 Fiscal Year Annual Research Report
森林渓流水の硝酸態窒素濃度にみられる地理的勾配-生態学的メカニズムの立証
Project/Area Number |
08680552
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
楊 宗興 東京農工大学, 農学部, 助手 (50260526)
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Keywords | 渓流水 / 硝酸態窒素濃度 / 地域的変動メカニズム / 窒素循環 / 大気降下物 / 温度の影響 / 土壌C / N比 / 有機化 |
Research Abstract |
人為的汚濁源のない自然の渓流水に含まれる硝酸態窒素(NO_3)濃度が渓流により著しく異なるという興味ある現象をこれまでの予備調査でつかんでいる。本研究は、この結果にもとづいて、それがどのような理由によっているのかを明らかにすることを目的としている。 まず、NO_3濃度が渓流ごとに相違するという現象が一水系内だけにとどまらないことを示すため、関東地方をスケールとした数回の渓流調査を行った。採取した試料の測定を現在進めているところである。この結果をマッピングしてどれほどの地域範囲にわたる現象であるのかを明示し、またそれにより、いくつか想定されるNO_3濃度の変動要因をこれからの調査にむけて絞り込む。 つぎに、濃度変動の原因を、涵養域森林土壌の化学的・生化学的特性という点から取り組むため、土壌化学分析の方法および野外土壌サンプリング法について検討を行った。本研究で対象とする森林土壌の場合、通常の水蒸気蒸留・滴定法では土壌無機窒素の検出感度が不足することがわかったので、留出液を改めて比色分析する方法によることとした。また土壌化学性についての実際の結果では、NO_3変動と深く関わるはずの土壌C/N比が予想通り寒冷地ほど高まる傾向があること、しかし同じ地域でも広葉樹林に対して針葉樹林で2から4程度C/N比が有意に高いため広葉・針葉の別に調査する必要があること、などの予察的結果を得ている。次年度改めておこなう土壌調査への基礎はおよそ固まってきたといえる。 最後に、代表的地域に小さな温度測定器を埋設し、記録を開始している。これは地域の窒素循環特性を温度をパラメーターとして解析することを目的としたものである。今春予定している調査でいったん掘り出し、データをパソコンに回収して暖かさの指数などのパラメーター化を試みる。
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