1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680560
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
吉田 宗弘 関西医科大学, 医学部, 助教授 (30158472)
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Keywords | 都市環境 / チョウ / 種数 / 生息密度 / 多様指数 / 環境指数 / 大阪近郊住宅地 |
Research Abstract |
平成9年度は、前年度に選定した対象地において、引き続きチョウの分布密度・種多様度調査を実施し、多様度指数や環境指数の経年変化について検討した。また、新たに京都市内においてもチョウの分布密度・種多様度調査を実施した。 1.チョウの分布密度と種多様度の経年変化 前年度に引き続き、守口市大和田、枚方市牧野、枚方市長尾台の3地区のルートにおいて、チョウのトランセクト調査を4〜10月に、月2回合計14回実施した。各地区のチョウの種数と各種の生息密度から、種々の多様度指数(平均多様度、相対多様度、森下のβ指数、シンプソンの多様度指数)、階級存在比、EI指数を算出し、前年度との比較を試みた。大和田では、種数と生息密度に関して、前年と同様の数値を得た。牧野と長尾台は、いずれも前年に比較して、種数と生息密度は大きな数値となった。多様度指数は、大和田と牧野では、ほぼ前年と同様の数値となったが、長尾台では特定の種(モンシロチョウ)密度が増大した影響で前年よりもむしろ低下した。 2.チョウの種数とEI指数の変動要因 都市で目撃されるチョウの種数と種数にもとづく環境指数であるEI指数がどのように経年変化するかを、京都市・桂の住宅地域での1991〜1996年のチョウの採集・目撃記録をもとに検討した。また、この記録を1997年に実施したトランセクト調査の結果とも比較し、「たんなる採集・目撃記録の積み重ね」と「一定のルールに従った調査」の間にどのような差があるかを検討した。1991〜1996年に京都市・桂で採集・目撃したチョウは、のべ31種であり、この種数をもとに算定したEI指数は60であった。年ごとの観察種数とEI指数は、それぞれ13〜20種と22〜36の範囲にあり、平均値は16.7であった。一方、1997年(平成9年)に同地域で月2回実施したトランセクト調査においては、23種(EI指数41)のチョウが観察され、過去6年間の観察種数の最高値20や過去の年ごとの観察種数の平均値16.7(率では51%)を大きく上回った。このことより、種数という定性的データに対しても、「一定のルールに従った調査(つまり月2回のトランセクト調査)」が「採集・観察記録の積み重ね」よりも、より多くの、精度の高い情報を提供できることを示すものと考える。
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Research Products
(2 results)