1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680562
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
嵐谷 奎一 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (10141748)
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Keywords | 室内汚染 / 多環芳香族炭化水素 |
Research Abstract |
中国北京市の宣武地方の高い肺癌死亡率に室内汚染、特に石炭暖房の使用に関係することを報告し注目されている。そこで、本年度は中国吉林省長春市の一般家庭室内の多環芳香族炭化水素(PAHs)の汚染の実態について検討した。 中国吉林省長春市の一般家庭5戸で、部屋面積は8m^2が1戸、9m^2が1戸、17m^2が3戸で、高さはすべて3.5mであった。冬期、室内暖炉の燃料は全て石炭を用いていた。浮遊粒子状物質の捕集にはグラスファイバーフィルターを使用し、流量は20L/minで約30分間実施した。捕集試料中のPAHsは超音波作用によりエタノール-ベンゼン(1:4、v/v)で抽出し、高速液体クロマトグラフィーで分離・定量した。 中国吉林省長春市5家庭の中の平均PAHs濃度はいずれの箇所ともPyreneが最も高く、次いでChysene、Benzo[a]pyrene、Benzo[ghi]perylene、Benz[a]anthracene、Indeno[1,2,3-cd]pyreneが比較的高い値を示した。各家庭ごとのBenzo[a]pyrene濃度差は1.6〜5.6倍、他のPAHs濃度差も同様であり、PAHsごとの濃度範囲は比較的小さい事が認められた。室外のPAHs濃度は室内の影響を受けて比較的高いレベルであった。 本測定により得られた長春市一般家庭室内BaP濃度レベルは1990年冬期北九州市の一般家庭のそれより数倍〜数十倍高い値であった。以上の結果より、長春市の冬期で、一般的な家庭内のBaP濃度レベルは最近の日本の室内のそれより遙に高く、今後継続した汚染調査の必要性と、環境改善対策が急務と考えられる。
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