1996 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線が誘発する細胞同期の阻害と細胞死におけるDNA損傷とその修復の役割
Project/Area Number |
08680566
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三谷 啓志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70181922)
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Keywords | メダカ / アポトーシス / 紫外線 / 光回復酵素 / 細胞死 |
Research Abstract |
紫外線は地球上の成分にとって、主要な環境変異原である。紫外線照射によって損傷を受けた生物は、速やかに損傷を修復するか、アポトーシスによって損傷細胞自身を除去することにより、細胞集団の秩序を保ち、固体を防御する。細胞は紫外線によって、大別して細胞膜損傷と、DNA損傷の2種の損傷を受ける。しかし、紫外線応答カスケードの引き金となる損傷種とその認識機構は、未だ明らかになっていない。本研究では、材料として、南日本型メダカ鰭由来培養細胞株OL32細胞にメダカ光回復酵素遺伝子を過剰発言させたメダカ培養細胞株OCP13を用いた。光回復酵素は、紫外線照射によりDNA上に形成されるピリミジン二量体を、可視光エネルギーを用いて、速やかに開裂させ修復するのでこのような研究に適している。プラスチック製培養皿に付着させたOCP13細胞にUVCを照射したところ照射後4hrの間に、アポトーシスに特徴的なDNA断片化が検出された。UVC照射4hr後に培養皿に接着している細胞を、ギムザ染色により観察したところ、細胞の萎縮、核の凝縮、核当たりの核小体の数の減少などの、細胞形態の変化が見られた。そこで、これらの細胞を、DNA断片化が起こる前の段階にある「前アポトーシス」細胞と定義した。紫外線照射直後に、細胞に可視光を1hr照射して光回復処理を行った細胞は、前アポトーシスを起こさなかった。シクロヘキシミドの有無にかかわらず、前アポトーシスは進行することから、前アポトーシスに特徴的な形態変化には新規タンパク質合成は必要ないことが明らかになった。さらに紫外線照射4hr後の光回復処理により、前アポトーシスの形態変化を起こした細胞も、正常な形態に回復することから、ピリミジン二量体の持続的存在が、前アポトーシスの形態変化に必要なことが明らかになった。
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[Publications] Funayama,T.: "Over expression of Medaka(Oryzias latipes)photolyase gene in Medaka cultured cells and early embryos." Photochem.Photobiol.63. 633-638 (1996)
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[Publications] Mitani,H.: "Induction of cyclobutane pyrimidine dimer photolyase in cultured fish cells by UVA and blue light." Photochem.Photobiol.64. 943-946 (1996)
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[Publications] Uchida,N.: "Photoreativating enzyme for(6-4)photoproducts in the cultured goldfish cell." Photochem.Photobiol.(in press).
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[Publications] Wang B.: "Apoptosis induction in cultured mouse embryonic mid brain cells." Radiation Research.(in press).