1996 Fiscal Year Annual Research Report
セミパラチンスク旧核実験場近郊住民の外部被曝線量評価
Project/Area Number |
08680575
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高田 純 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (00274134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 正治 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50099090)
遠藤 曉 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (90243609)
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Keywords | セミパラチンスク / 核兵器実験 / フォールアウト / 環境放射線 / 外部被曝線量 |
Research Abstract |
原子力の軍事利用や原子力発電の事故により米国や旧ソヴィエト連邦をはじめ世界的に深刻な高レベル核汚染が生じている。ソヴィエト連邦が崩壊し、カザフスタン共和国が独立した後、その国の被曝者のデータが公開されてきた。それによるとカザフスタン・セミパラチンスク旧核実験場周辺にはかなりの数の被曝者が存在していると言われている。その特徴は爆心地から数十キロメータ離れた広大な地域への原爆フォールアウトによる内部および外部被曝である。しかし、これまでは核実験サイト近郊住民への放射線影響に関するレポートは旧ソ連の軍部の測定データに基づいたものに限られており、この国の独立前後で被曝線量の報告値が大きく異なるなどそのデータには疑問が少なくない。 本研究の目的は、核実験により被曝したセミパラチンスク核実験場近郊の村の住民の被曝線量、特に外部被曝線量を現地より採取した煉瓦に対し、熱蛍光法を適用し、評価することにある。 採取した煉瓦から石英を抽出し、熱蛍光法により外部被曝線量を測定した。結果はドロン村は過去の報告値に近い値89cGyとなったが、意外にもセミパラチンスク市で採取した煉瓦が既報告値の100倍もの高い値41cGyを示した。この都市の人口は35万人あり、今後サンプリング箇所を増やし、線量評価の確度を高める必要がある。 この地域の幾つかの村における環境放射線測定を実施した。1965年に地表実験した爆心地周辺の放射線レベルは現在でも依然高く、アトミックレイクと呼ばれている湖の辺りの線量率は10μSv/h程度であった。しかしかなりのフォールアウトがあったと言われている周辺の村では、そこの線量率は1995年の今日では0.1μSv/h以下で、自然バックグランドレベルにあった。
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