1998 Fiscal Year Annual Research Report
セミパラチンスク旧核実験場近郊住民の外部被爆線量評価
Project/Area Number |
08680575
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高田 純 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (00274134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 正治 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50099090)
遠藤 暁 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (90243609)
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Keywords | セミパラチンスク / 核兵器実験 / フォールアルト / 環境放射線 / 外部被曝線計 |
Research Abstract |
ソヴィエト連邦が崩壊し、カザフスタン共和国が独立した後、その国の被曝者のデータが公開されてきた。その特徴は爆心地から数十キロメータ離れた広大な地域への原爆フォールアウトによる内部および外部被曝である。しかし、これまでは核実験サイト近郊住民への放射線影響に関するレポートは旧ソ連の軍部の測定データに基づいたものに限られており、この国の独立前後で被曝線量の報告値が大きく異なるなどそのデータには疑問が少なくない。本研究の目的は、核実験により被曝したセミパラチンスク核実験場近郊の村の住民の被曝線量、特に外部被曝線量を現地より採取した煉瓦に対し、熱蛍光法を適用し、科学的評価をすることにある。 国内では広島大学原爆放射能医学研究所の星正治が研究代表者となって、国際学術研究・「セミパラチンスク核実験場近郊の被曝線量評価と疾病調査」を人体影響の視点から、平成7年度より開始した。この研究には本研究代表者高田も参加しており、その現地での調査、試料採取が、本研究の基礎となっている。この地域の幾つかの村における環境放射線測定を実施した。1965年に地表実験した爆心地周辺の放射線レベルは現在でも依然高く、アトミックレイクと呼ばれている湖の辺りの線量率は10μSv/h程度であった。しかしかなりのフォールアウトがあったと言われている周辺の村では、そこの線量率は1995年の今日では0.1μSv/h以下で、自然バックグランドレベルにあった。 本年、レンガ線量から人体線量を推定する方式を検討し、外部被曝線量を推定した。結果はドロン村は過去の報告値に近い値99cGyとなったが、意外にもセミパラチンスク市で採取した煉瓦が既報告値の100倍もの高い値60cGyを示した。この都市の人口は1949-1963年に、12-19万人あり、健康影響の視点からも注目の結果となった。フォールアウトによる内部被曝を考慮すれば、放射線被曝はそれ以上である。尚、この研究成果を1998年9月にセミパラチンスクで開催された環境-放射線-健康に関する第二回国際会議で報告した。
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[Publications] 高田 純: "広島市内のCs-137放射能密度“ その場 "測定" 広島医学. 51(3). 437-438 (1998)
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[Publications] 高田 純: "放射線生物研究センターに導入された低線量マンガン線照射装置の線量評価" 京都大学放射線生物研究センター年報1997. 56-56 (1998)
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[Publications] 高田 純: "[FIELD NOTE]セミパラチンスク核実験と住民の放射線被曝" サイアス. 3. 34-35 (1998)