1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖因子による放射線誘導アポトーシス抑制機構に関する研究
Project/Area Number |
08680576
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 修 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (90214361)
|
Keywords | VEGF / アポトーシス / bclファミリー |
Research Abstract |
ヒト白血病細胞株CMK86における血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の放射線誘導アポトーシス制御効果の分子機序を明らかにすることを目的として以下の実験を行った。 1. bclファミリーの発現量の検討 VEGF(50ng/ml)添加のメディウムで4時間インキュベートしたCMK86細胞および無処理のCMK86細胞からmRNAを抽出し、bcl-2遺伝子、およびbcl-X遺伝子cDNAをプローブとしてRNAブロットハイブリダイゼーションを行ったが、両遺伝子mRNA量はVEGF刺激により変化が認められなかった。次に、抗bcl-2抗体、および抗bcl-X抗体を用いてウエスタンブロットハイブリダイゼーションを行った。bcl-2タンパク、およびbcl-XLタンパクの発現量の変化も認められなかった。従って、VEGFのアポトーシス制御作用にbclファミリーが関与している可能性は低いことが示唆された。 2. mRNA differential diplay法によるVEGF誘導遺伝子の同定 CMK86細胞においてVEGFにより発現誘導される遺伝子を同定するためにmRNA differential diplay法を行った。VEGF刺激したCMK86細胞でのみ認められたシグナルから計30クローンのPCR産物を得た。RNAブロッドハイブリダイゼーションを行った結果、上記クローンの中で3クローンにおいてそれぞれに対応する遺伝子mRNA量の増加が確認された。このうち2クローンの遺伝子の塩基配列を決定した結果、それぞれVDUP1,OZFという既に報告されている遺伝子と同一のものであった。もう一つのクローンは新規遺伝子の一部であった。 平成9年度は新規遺伝子cDNAのクローリングとVDUP1,OZFタンパクのアポトーシスにおける役割を明らかにすることを目的として研究を行う予定である。
|
-
[Publications] 加藤 修: "γ線誘導アポトーシスに対して修飾効果を有する細胞増殖因子の検討" 広島医学. 49. 441-443 (1996)
-
[Publications] Kawaishi, K.: "Decreased L-selectin expression in CD34-positive cells from patients with chronic myelocytic leukemia" British Journal of Haematology. 93. 367-374 (1996)
-
[Publications] Ohashi, N.: "No alterlation in DNA topoisomerase 1 gene related to CPT-11 resistance in human lung cancer" Japanese Journal of Cancer Research. 87. 1280-1287 (1996)
-
[Publications] 加藤 修: "細胞増殖因子のガンマ線誘導アポトーシス制御機構について" 長崎医学会雑誌. 71. 329-331 (1996)
-
[Publications] Nakagawa, Y.: "Colon tissue omplanted into the glandular stomach in rats lack susceptibility to N-methy-N′-nitro-N-nitrosoguanidine (MNNG) carcinogenesis" Oncology Reports. in press. (1997)