1996 Fiscal Year Annual Research Report
酸性化した生態系水圏内におけるアルミニウムイオンと有機配位子との相互作用
Project/Area Number |
08680579
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
横山 拓史 九州大学, 理学部, 助教授 (20136419)
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Keywords | 酸性雨 / 植物毒 / アルミニウムイオン / フルボ酸 / カルボキシル基 / フェノール性水酸基 / アルミニウム-フルボ酸錯体 |
Research Abstract |
酸性雨による土壌の酸性化が進行するにつれて水圏へのアルミニウムイオンの溶出が懸念されている。アルミニウムイオンまたはそのヒドロキソ錯体は植物に対し強い毒性を示す。一方有機物との錯体はほとんど毒性を示さないことが知られている。そこで天然水中に存在する代表的な有機配位子であるフルボ酸とアルミニウムイオンとの錯生成反応およびその構造を研究する第一段階として,1.アミノカルボン酸であるイミノジ酢酸(IDA),キノリン酸(QA)とアルミニウムイオンとの相互作用,2.フルボ酸の主官能基である芳香族カルボキシル基や水酸基を有するタイロン(Tr),サリチル酸(Sa),フタル酸(Pa)とアルミニウムイオンとの相互作用を^<13>C及び^<27>AlNMR法により検討した。27AlNMRスペクトルより錯体の組成,13CNMRスペクトルより錯体の構造が決定できた。また,pH3での27AlNMRスペクトルを利用して検量線法からフリーのアルミニウムイオン濃度を見積もり,錯体の生成定数を算出した。 1.pH3ではIDAは1:1及び1:2錯体が生成した。pHが上昇するにつれて2:2錯体も生成することが明らかとなった。なおIDAは3座配位子としてアルミニウムイオンと錯生成した。一方QAは窒素原子および一つのカルボキシル基を結合サイトとする2座配位子として錯生成した。すなわち5員環構造を有する錯体を生成した。 2.pH3においてTr,Sa,Phともに1:1錯体のみを生成した。すべてキレート錯体でありその安定度はキレート環のサイズに依存することがわかった。5>6>7の順に不安定となる。 これらの結果からフルボ酸の官能基のうちキレートを生成するものがアルミニウムイオンの結合に重要な役割を果たすことが推定される。特に5員環を形成できるものが強く錯生成すると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 広城吉成他: "農地利用形態の変化に伴う地下水中硝酸態窒素濃度及び溶存酸素量の変化" 地下水学会誌. 38. 1-11 (1996)
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[Publications] 池田好夫他: "ムライト前駆体中のアルミニウムの配位数分析:XAFSと27AlMASNMR法との比較" X線分析の進歩. 27. 211-219 (1996)
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[Publications] 横山拓史他: "Determination of gold in geothermal water by anion exchange and ICP-MS" Geochemical Journal. 30. 183-187 (1996)