1996 Fiscal Year Annual Research Report
水道水中の消毒副生成物による即時型および遅延型喘息反応性
Project/Area Number |
08680585
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
上野 仁 摂南大学, 薬学部, 講師 (20176621)
|
Keywords | 水道水 / 消毒副生成物 / B細胞幼若化反応 / T細胞幼若化反応 / 活性酸素 / 塩素 / オゾン |
Research Abstract |
消毒剤や各種の消毒副生成物による免疫修飾作用またはアレルギー反応のアジュバント作用を検索する目的で研究を行った。本年度は、個々の消毒副生成物の毒性を明らかにするため、まず大腸菌の活性酸素消去酸素欠損株を用いたKat-sod assayによる細胞障害性を検討した。その結果、chlorine dioxide、hypochlorite、glyoxal、dichloroacetaldehydeおよびdichloroacetic acidが活性酸素生成に起因する細胞障害性を示した。また、C3H/He系およびBALB/c系マウスから脾細胞を調製し、mitogenにそれぞれLPSおよびCon Aを用いてB細胞およびT細胞幼若化反応に対する8種類の消毒副生成物(formaldehyde,glyoxal,methylglyoxal,dichloroacetaldehyde,chloral hydrate,dichloroacetic acid,dibromoacetic acid,trichloroacetic acid)の影響を検討した。その結果、いずれの化合物もそれ自身では幼若化反応を惹起しなかった。LPSによるB細胞幼若化反応に対して、いずれの化合物も10^<-10>〜10^<-3>mol/Lにおいて濃度の増大とともに細胞増殖率が低下した。とくに、glyoxalおよびmethylglyoxalは最低濃度からB細胞幼若化反応を抑制した。Con AによるT細胞幼弱化反応に対してformaldehyde、dichloroacetaldehyde、chloral hydrateおよびdichloroactic acidは10^<-6>ないし10^<-5>mol/Lで急激な細胞増殖抑制を示した。Glyoxal、methylglyoxal、dibromoacetic acidおよびtrichloroacetic acidは10^<-4>ないし10^<-3>mol/Lの高濃度曝露でのみ細胞増殖の抑制を示した。これらの幼若化反応に対する阻害曲線を比較すると、glyoxal、methylglyoxal、chloral hydrateおよびdibromoacetic acidはT細胞幼弱化反応よりもB細胞幼弱化反応に対して強い阻害作用を示した。とくに、glyoxalおよびmethylglyoxalは極めて低濃度でB細胞幼弱化反応を抑制することが認められた。
|