1997 Fiscal Year Annual Research Report
ディーゼル排気微粒子(DEP)による喘息疾病態におけるリンパ球の役割に関する研究
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08680591
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Research Institution | National Institute For Environmental Studies |
Principal Investigator |
高野 裕久 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 主任研究員 (60281698)
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Keywords | ディーゼル排気微粒子 / 気管支喘息 / 好酸球性気道炎症 / リンパ球 / サイトカイン / インターロイキン-5 / 表面マーカー |
Research Abstract |
Diesel exhaust particles(DEP)がアレルギー性気管支喘息の発現を修飾しうるか否かについて実験的既報はなく、そのメカニズムについても明らかにされていなかった。DEPの修飾効果の有無とそのメカニズムを明らかにするために、DEPのアレルゲンに関連する好酸球性、リンパ球性気道炎症におよぼす効果を検討した。特に、DEPがリンパ球の表面マーカーとサイトカイン産生に及ぼす影響を中心に検討を加えた。ICR系雄性マウスを用い、1)vehicle群,2)ovalbumin(OVA:アレルゲン)群,3)DEP群,4)OVA+DEP併用群を設定し気管内投与を6週間行った。vehicle(0.1ml/body)とDEP(100μg/body)は1週毎に計7回、OVA(1μg/body)は3週毎に計3回投与し、最終投与の24時間後に種々の検討を行った。OVA、DEP単独群に比較しOVA+DEP併用群では、好酸球性、リンパ球性気道炎症と粘液産生、アセチルコリンに対する気道過敏性、抗原特異的IgG1とIgE産生は顕著に増悪した。免疫組織学的には、OVA+DEP併用群の浸潤リンパ球にはIL-5、CD4陽性の細胞が他群に比較し数多く認められた。フローサイトメトリーの結果もほぼ同様であった。気管支肺胞洗浄液と肺可溶性画分中のIL-5の蛋白発現は、OVA単独群でも軽度に観察されたが、OVA+DEP併用群で顕著に増強していた。mRNAレベルの発現も同様の傾向を示した。DEPの併用投与は、OVAによるリンパ球の浸潤やIL-5の産生を修飾することにより、好酸球性気道炎症を増悪することが推定される。今回の検討より、近年の大気中DEP濃度の上昇とアレルギー性気道疾患の増加と増悪の関連が実験的に示唆された。現在、大型チャンバーを用いてDiesel exhaust(DE)と吸入OVAを併用暴露する実験系で同様の検討を進めているが、DEの併用暴露は、アレルゲンの単独吸入に比較し好酸球性気道炎症とIL-5の局所発現を増悪する結果が得られつつある。
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[Publications] Hirohisa Takano: "Diesel exhanst particles enhance antigen-induceol array infkmmation and local cytokine expression in mice." American Journal of Respiratory and Chmal Care Medicine. 156. 36-42 (1997)
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[Publications] 高野 裕久: "ディーゼル排気微粒子によるアレルギーの増悪とその機序" 臨床免疫. 29. 1526-1532 (1997)