1996 Fiscal Year Annual Research Report
チトクロームP450を発現する細菌による有害有機化合物分解特性の解明
Project/Area Number |
08680609
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井勝 久喜 岡山大学, 環境管理センター, 助手 (10260663)
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Keywords | チトクロームP450 / 有害有機化合物 / 微生物分解 / 2-エトキシフェノール / 酵素精製 |
Research Abstract |
細菌の発現するチトクロームP450は誘導酵素であることから通常の培養では細菌から検出することはできない。そこで、M9最小培地にP450の誘導剤を加え、P450を発現する細菌を環境中から分離することを試み、2-ethoxyphenolを単一炭素源とした培地で7株、camphorを単一炭素源とした培地で1株のP450発現細菌を分離した。P450発現細菌は環境中に広く分布していることが示唆された。8株のうち2-ethoxyphenolを単一炭素源として生育し、P450を発現するEJ株について基礎的検討を行った。EJ株は4-ethoxybenzoic acidを単一炭素源として生育したときもP450を発現していたが、その他の生育基質で生育したときにはP450を発現していなかった。P450の発現量は対数増殖後期に最大となり、定常期に入ると急激に減少した。また、P450の発現量は2-ethoxyphenolの濃度に影響されなかった。EJ株の無細胞抽出液を用いて代謝活性を検討した結果、2-ethoxyphenolは38.6nmol/min/nmol-P450の速度で代謝され、その代謝物はcatecholであることが明らかとなった。同様に、有害有機化合物の分解活性を検討した結果、toluene,benzene,xylene,1,3-dichloropropene,carbon tetrachloride,1,1,1-trichloroethaneが代謝されることが明らかとなった。なお、代謝活性を示すためにはNADHの添加が必要であり、この活性はCOの通気により抑制されたことから、これらの物質はEJ株の発現するP450により代謝されることが示された。EJ株の発現するP450をゲルろ過及び陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製したところ、分子量は45kDaであることが明らかとなった。本研究により、新しいP450発現細菌が分離された。また、EJ株のP450は種々の有害有機化合物の分解に利用できる可能性があることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 井勝久喜 他: "微生物によるセレンの濃縮と黒煙炉原子吸光法による定量" 環境技術. 25. 618-625 (1996)
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[Publications] H.IKATSU et al.: "Pre-concentration of Selenium by Microorganisms and Analysis by Graphite Furnace Atomic Absorption Spectrometry" Proceedings of the Third Asian Symposium on Academic Activity for Waste Treatment and Resources 1996. (印刷中). (1997)
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[Publications] Y.KINO et al.: "Biodegradation of Hazadous Chemicals ; Isolation and Characterization of Bacteria Containing Cytochrome P-450" Proceedings of the Third Asian Symposium on Academic Activity for Waste Treatment and Resources 1996. (印刷中). (1997)