1997 Fiscal Year Annual Research Report
水環境における水質変換に対する植物の役割に関する基礎的研究
Project/Area Number |
08680617
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
江成 敬次郎 東北工業大学, 工学部, 教授 (20094922)
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Keywords | 水生植物 / 栄養塩除去 / 水耕栽培 / 窒素吸収量 / 自然浄化能力 |
Research Abstract |
本研究は、水環境中の窒素・リン除去を中心とした水質浄化能力(自浄能力)に重要な役割を果たしている植物の機能を評価するため、水生植物(マコモ)を水耕栽培し、マコモの生長と水質変化との関係を明らかにすることを目的としている。 これまでの実験によって得られた知見は以下のようである。 ◇水生植物(マコモ)の吸水量(単位重量当り)は、7月〜8月上旬の期間で最も大きくなり、約10〜15g/g・週であった。このあとこの値は減少し、11月中旬以降は約1〜2g/g・週の値でほぼ一定した。このような傾向は、一日の平均気温の変化と関連しており、平均気温の低下にともなって吸水量が低下し、平均気温がおよそ12℃以下になると吸水量は低い値で一定した。 ◇吸水量は水生植物(マコモ)の湿潤重量の増加と関連しており、約1kgの吸水によって、湿潤重量約20gが増加するという関係が得られた。 ◇水耕栽培期間初期(6月)において、吸水量と窒素除去量から算定される、「除去濃度」は、約74mg/L〜142mg/Lであった。これをNH_4-NとNO_3-Nに分けて算定すると、NH_4-Nは、約51mg/L〜103mg/L、NO_3-Nは約20mg/Lであった。これらの濃度は、水耕栽培の栽培液窒素濃度(NH_4-N :約14mg/L、NO_3-N : 約14mg/L)に対して、それぞれ約3.6〜10倍、1.4倍である。つまり、水生植物(マコモ)による窒素の吸収は、栽培液から濃縮して行なわれていることが明らかとなった。そして、この場合はNH_4-Nの濃縮の方が、NH_3-Nの濃縮より大きかった。 ◇1生育シ-ズン(7月〜9月:重量増加期)、13週間の水生植物(マコモ)によるNH_4-N除去量は約200mg、NH_3-N除去量は約150mgであった。またこの間の植物体湿潤重量増加は約130gであった。つまり、水生植物(マコモ)1g(湿潤重量)の生成に約2.7mg(NH_4-N : 1.56mg、NH_3-N : 1.15mg)の窒素が用いられたことになる。
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