1996 Fiscal Year Annual Research Report
周囲の土地利用が湿原の乾燥化に及ぼす影響評価に関する研究
Project/Area Number |
08680620
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
野原 精一 国立環境研究所, 生物圏環境部, 室長 (60180767)
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Keywords | 地下水位 / ピエゾメータ / チマキザサ / 泥炭 / 腐植物質 / DOC |
Research Abstract |
水位観測 1996年6月1日に地下水位の観測を25箇所で行った。概ね上から下へ水が流れていっているが所々で流れが上向きの場所があった。どの地点も6月上旬よりも6月下旬の方が水位は高く梅雨で水が供給されたことを示している。9月中旬には夏期の降水が少ないために地下水位が低下した。Aラインは境界付近が最も地下水位が高く湿原内部の方が低かった。湿原内部に向けて水が流れている事を示している。境界からの距離の影響が比較的少ないのはBラインとEラインであり、Eラインでは最も水位が上にあった。それに対し、C,Dラインでは境界付近で急激に地下水位が低下していた。急激に変化するのはおよそ20mの所まででそこを過ぎる湿原内部の変化は小さくなった。素掘りの水路が深いC,Dラインは水位低下が大きいことから湿原の周囲の地下水位の低下が原因と考えられた。 チマキザサの生態 Dラインでは境界から20mの地点で草高が平均約80cmあり、50m付近で50cm、90m付近のチマキザサがあまり見られなくなる地点では30cmの草高になっていた。その関係は季節を通して大きな変化は無かった。シュート当たりの葉数の平均はどの地点でも大きな違いはなく5-7枚であった。葉の寿命はおよそ2年と観察された。シュート密度はラインの50m付近でやや大きく赤井谷地境界付近とチマキザサの分布縁の90m付近で小さくなった。6月はじめには当年のシュートが生じるために密度が大きくなったが、9月には一部の老齢化したシュートが枯死するため密度は低下した。 水質調査 溶存有機物炭素は電気伝導度の比較的低いT6,7,9(泥炭の素堀水路)で高くなっていた。泥炭からの腐植物質の溶出と思われるが、吸光度のスペクトルは尾瀬が原の池塘とは異なり300nm付近には吸収ピークは無かった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Toshio Iwakuma: "″Mires of Japan″,Ecosytems and Monitoring of Miyatoko,Akaiyachi and Kushiro Mires" National Institute for Environimental Studies, 127 (1996)
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[Publications] 宗像精: "赤井谷地の自然" 会津若松市教育委員会, 256 (1996)