Research Abstract |
クレロダン型ジテルペン類の合成にとって汎用性に富み、divergentな展開を可能とする二つの鍵中間体の設計と合成を行った。 1.(3S,4R,4aS,8S,8aR)-7,7-エチレンジオキシ-3,4,8,8a-テトラメチル-4-ビニル-3,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2(1H)-オンの合成: (+)-ノピノンのアルキル化、シクロブタン環の開環、側鎖部の化学変換と分子内エン反応などにより好収率で(4aS,8S,8aR)-7,7-エチレンジオキシ-4,8,8a-トリメチル-4a,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロナフタレン-2-(1H)-オンを合成した。これの持つエノン系にビニル求核試薬を共役付加させ、生成するエノレートをヨウ化メチルで捕捉して表題化合物の立体選択的合成を達成した。ビニル基はクレロダン類の特徴的な側鎖部構築に有利であり、またAB環の酸素官能基は両環が酸素化された天然物合成の手掛かりとなる。 2.(3S,4R,4aS,8aR)-3,4,8,8a-テトラメチル-4-ビニル-3,4,4a,5,6,8a-ヘキサヒドロナフタレン-2(1H)-オンの合成:上述の合成の途上で得た中間体を利用して(4aR,8aR)-4,8,8a-トリメチル-4a,5,6,8a-テトラヒドロナフタレン-2-(1H)-オンを導いた。このエノン系を利用してビニルおよびメチル基を立体選択的に導入し、表題化合物を合成を達成した。この化合物は多くのクレロダン類に共通してみられるC-4オレフィンメチル同族体の重要合成中間体となる。 現在これら鍵中間体を利用する生物活性天然物の合成を検討している。
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