1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680642
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
児玉 三明 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (30004378)
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Keywords | オクタラクチンA / オイリレン / (+)-1233A / パン酵母還元 / 不斉ジヒドロキシル化 / 全合成研究 |
Research Abstract |
本研究はパン酵母による不斉還元を不斉導入法として、各種の光学活性天然物を合成することを目的としている。 1.強力な細胞毒性と八員環ラクトンを含む興味深い構造を有するオクタラクチンAの合成を試みた。まず(-)-シトロネロールをパン酵母還元を用いて(6R)-6,7-ジオール体とした。次に申請者らが開発した1級水酸基の新しい脱水法を用いて1,2-位に二重結合を導入し、これに不斉ジヒドロキシル化を行った。7-位の3級水酸基を脱水し、続いて立体選択的ヒドロホウ素化を行って全ての不斉中心を構築した。さらに1炭素増炭反応を行うことにより、Buszekらが天然物に誘導している鍵中間体の(2R,3S,6S,7R)-3,7,9-トリヒドロキシ-2,6-ジメチルノナノール誘導体を短行程で合成することに成功した。 2.8個の不斉中心をもつ鎖状トリテルペン・オイリレンのエナンチオ選択的な全合成を試みた。ゲラニオールからパン酵母還元を用いて得られる高純度の(R)-6,7-ジヒドロキシゲラニオールを出発原料とし、非立体選択的なテトラヒドロフラン環形成、続いてプレニル基の導入などを行って、正しい立体配置をもった左右のC_<15>セグメントを合成した。現在これら二つのセグメントの結合を検討している。 3.β-ラクトン環を有し、コレステロールの生合成阻害活性をもつ(+)-1233A[(+)-F-(244)]の形式全合成を行った。(+)-シトロネロールの二重結合を切断し、この位置にプレニル基を付加させた。その二重結合を(R)-ジオールに変換した。この場合は、パン酵母還元よりも不斉ジヒドロキシル化の方が有効であった。さらに立体選択的なヒドロホウ素化を行って、(2R,3R,8R)-3,10-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-8-メチルデカノール誘導体を合成した。この物質はすでに天然物の(+)-1233Aに変換されているので、その形式全合成が完了したことになる。
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[Publications] 児玉、前田、日置: "Enantioselective Synthesis and Absolute Configuration of (+)-Cubitene" Chemistry Letters. (9). 809-910 (1996)
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[Publications] 福山、三並、竹内、児玉、河津: "Neovibsanines A and B, Unprecedented Diterpenes from Vibrunum awabuki21GC02:Tetrahedron Letters" 37(37). 6767-6770 (1996)
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[Publications] 松下、長岡、日置、福山、児玉: "A Simple Method for the Conversion of Primary Alcohols into Terminal Olefins" Chemistry Letters. (12). 1039-1040 (1996)
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[Publications] 児玉、松下、寺田、竹内、吉尾、福山: "Enantioselective Synthesis of Octalactin A" Chemistry Letters. (2). 117-118 (1997)
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[Publications] 福山、三並、高岡、児玉、河津、根本: "Structure of Vibsanins B and C, and their Chemical Correlation" Tetrahedron Letters. 38(8). (1997)
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[Publications] 福山、三並、高岡、児玉、河津、根本: "Structure of Vibsanins B and C, and their Chemical Correlation" Tetrahedron Letters. 38(8). (1997)1435-1438