1996 Fiscal Year Annual Research Report
マウス乳腺における脂肪球特異的ガングリオシドの発現調節とその役割
Project/Area Number |
08680646
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩森 正男 東京大学, 医学部, 助教授 (90110022)
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Keywords | α経路ガングリオシド / コレステロール硫酸 / シアル酸転移酵素 / プロラクチン / EGF / 初期培養 / 乳腺上皮細胞 / 妊娠中期 |
Research Abstract |
マウスの妊娠期間約20日の間に乳腺の脂質成分の顕著な変化が観察される。硫酸化脂質として含まれるスルファチドとコレステロール硫酸は高い濃度を維持したままで推移するが、シアル酸化脂質としてのガングリオシドの変化が極めて大きい。GM3とa経路ガングリオシドの濃度が妊娠とともに急激に減少するのに対し、妊娠12日目よりα経路ガングリオシドの濃度が急激に増加する。この組織レベルで観察される脂質成分の変化を誘導する因子と調節機序を明らかにするために、妊娠中期の乳腺細胞を培養し、各種誘導因子の作用による脂質成分の変化を調べた。コラゲナーゼ処理乳腺細胞を5μg/mlインスリンと1μg/mlコルチゾルを添加した無血清培地(基本培地)中、コラーゲンプレートで培養すると培養2日目で乳分泌を停止した。GM1b:CMP-MeuAc2-6シアル酸転移酵素の活性は培養初日に比べ1/5に低下し、LacCer:CMP-NeuAc2-3シアル酸転移酵素とコレステロール硫酸基転移酵素活性は変化しなかった。しかし、基本培地に5μg/mlプロラクチンを添加するとLacCer:CMP-NeuAcシアル酸転移酵素活性は低下するがGM1b:CMP-MeuAcシアル酸転移酵素活性は約5倍に増加し、盛んに脂肪球を産生しているのが観察された。また、カゼイン合成も認められた。一方、基本培地に10ng/ml EGFを添加すると、GM1b:CMP-MeuAcシアル酸転移酵素活性は完全に抑制され、コレステロール硫酸基転移酵素活性が10倍近くに増加した。チミジンの取り込みも増加していることから、細胞増殖とコレステロールの硫酸化は連動していることが分かった。さらに、プロラクチン存在下、糖脂質合成を阻害するPDMPを添加すると脂肪球の産生が抑制されたことからガングリオシドは脂肪球の合成過程に不可欠であり、シアル酸転移酵素はプロラクチンによって制御されていることが予想された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kamisago,S.,Iwamori,M.,Sugano,K.: "Role of sulfatides in adhesion of Helicobacter pylori to gastric cancer cells" Infect.Immun. 64. 624-628 (1996)
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[Publications] Momoeda,K.,Hirota,K.,Iwamori,M.: "Developmental changes of neutral glycosphingolipids as receptors for pulmonary surfactant protein SP-A in the alveolar" J.Biochem. 119. 1189-1195 (1996)
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[Publications] Kitano,Y.,Kiguchi,K.,Iwanori,M.: "Selective reduction in α-hydroxy fatty acid-containing sphingomyelin and concurrent increase in hydroxylated ceramides" Jp.J.Cancer Res.87. 437-441 (1996)
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[Publications] Iwamori,M.,Hirota,K.,Utsuki,T.: "Selective method for the detection of pulmonary surfactant phospholipid/sphingomyelin ratio in human amniotic fluids for" Anal.Biochem. 238. 29-33 (1996)
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[Publications] Kamei,K.,Kubushiro,K.Iwamori,M.: "Expression of GalCer sulfotransferase by human uterine endometrial carcinoma cell lines" Oncol.Rep.3. 657-660 (1996)
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[Publications] Iwamori,M.,Ohta,Y.,Uchida,TY.: "Sialidase isoenzymes,L,M1 and M2,cleaving fucosyl GM1 from Arthrobacter ureafaciens" Glycoconjugate J.(in press). (1997)