1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内シグナル伝達におけるイソプレノイドの機能発現機構
Project/Area Number |
08680649
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤井 博 新潟大学, 医学部, 助教授 (90165340)
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Keywords | 蛋白質の脂質修飾 / 蛋白質のプレニル化 / Ras / イソプレノイド / シグナル伝達 |
Research Abstract |
細胞質にあるプロテイン・ファルネシルトランスフェラーゼでファルネシル化されたRas蛋白質は、小胞体のエンドプロテアーゼ、カルボキシメチラーゼなどの酵素によってプロセシングされた後、形質膜へターゲティングされることがわかっているが、ファルネシル基を介した特異的ターゲティング機構の詳細は全く不明である。また、Rasによる細胞内シグナリングカスケードにおいて、ファルネシル基は必須であることから、Rasのファルネシル基は、蛋白質-蛋白質相互作用において、必須の役割を果たしていることが示唆されている。そこで、今年度は、ファルネシル基と特異的に相互作用をする蛋白質を探索する為、化学合成したプレニルシステイン残基を含むオリゴペプチドをリガンドにしたアフィニティークロマトグラフィーを試みた。リガンドは、以下の3種類を化学合成した。Ki-RasのC末端のシステイン残基を含むヘプタペプチド(SKTKC)のN末端のセリンをビオチン化した。その後、システイン残基をファルネシル化し、システインのカルボキシル基をメチル化したもの(♯1)と、メチル化しないもの(♯2)をそれぞれ分離精製した。また、システイン残基未修飾のリガンド(♯3)も作製した。これら3種類のアフィニティーリガンドを用いて、ラット脳由来の細胞質画分に、ファルネシル基と特異的に相互作用する蛋白質があるかどうか調べた。その結果、リガンド♯1と特異的に相互作用する蛋白質の存在が確認された。その中でも、分子量約50kDaと90kDaの蛋白質が顕著であった。この2種類の蛋白質の構造を解析する為、それぞれの蛋白質をラット脳細胞質画分から2種類のクロマトグラフィー(DE52、MonoQ)で分離精製後、アフィニティークロマトグラフィーで更に濃縮した。現在、これらの蛋白質のアミノ酸配列を決定する為、PVDF膜に転写して、目的の蛋白質を大量に回収している。アミノ酸配列決定後、これらの蛋白質をコードしているcDNAをクローニングする予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kanda,T.: "Intestinal fatty acid-binding protein is a useful diagnostic marker for mesentric infarction in human." Gastroenterology. 110. 339-343 (1996)
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[Publications] Kanda,T.: "Effect of bile on the intestinal bile acid-binding protein (I-BABP) expression. In vitro and in vivo studies." FEBS Lett.384. 131-134 (1996)
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[Publications] Sato,E.: "Tissue-specific regulation of the expression of rat intestinal bile acid-binding protein." FEBS Lett.374. 184-186 (1995)
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[Publications] Fujita,M.: "Molecular cloning,expression and characterization of a human intestinal 15 kDa protein." Eur. J. Biochem.233. 406-413 (1995)
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[Publications] Iseki,S.: "Immunochemical localization of two types of fatty acid-binding proteins in rat overies during postnatal development and immature rat overies treated with gonadotropins." Anat. Rec.241. 235-243 (1995)
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[Publications] Sakai,K.: "Tissue-specific suppression of aortic fatty acid-binding protein in streptozotocin induced diabetic rats." Eur. J. Biochem.229. 201-206 (1995)